大林組が構築したアルミサッシの水平リサイクルフロー
株式会社大林組が、建設現場で発生するアルミスクラップを再利用する「水平リサイクルフロー」を新たに構築しました。この取り組みは、環境への配慮を強化し、持続可能な社会への移行を実現するための重要なステップです。都市部での建設業界のカーボンニュートラルを目指す中、大林組は他社との連携を深めつつ、新築建物へアルミサッシとして再生したアルミ材を利用するフローを確立しました。
1. 社会的背景と取り組みの目的
2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、建設業界全体がそのライフサイクルにおけるCO2排出量を削減する必要があります。これには「ホールライフカーボン」と呼ばれる概念が重要で、建物の設計から施工、運用、解体に至る全ての段階でのCO2排出を削減する努力が求められています。
特に、建材の製造過程でのCO2排出量が多い鋼材に注目し、2024年からは解体後の鉄骨構造部材を新築物件に再利用する試みを始める予定です。これにより、リユースやリサイクルを進めるための新たな設計手法や技術開発、最適な輸送フローを見直し、建設資材の循環利用を促進していく方針です。
2. アルミサッシのリサイクルフローの具体的な実施
大林組が推進するリサイクルフローは、解体工事で発生したアルミスクラップからの回収・選別から始まります。具体的には、東京都内での解体工事で得られたスクラップが、伊藤忠メタルズにより回収・加工され、最終的には不二サッシへ供給されます。不二サッシはこれを原材料としてアルミサッシを製造し、大林組が手掛ける新築工事に使用されます。
このプロセスを通じて、製造時のCO2排出量を約80%削減することが目指されています。また、アルミスクラップの発生元と再利用先を特定することで、作業の流れを効率化し、輸送によるCO2排出量も大幅に削減しています。
3. 未来へ向けた展望
大林グループは、自らの長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」を策定し、持続可能な社会の実現に向けて様々な環境活動を展開しています。未来に向けては、関係する事業者との連携を強化し、回収した建設資材を効率良く再利用するための方法を探求するとのこと。
また、これからも建設資材のリサイクルやリユースを進め、持続可能な循環型経済と脱炭素社会の実現に向けて努力を重ねていきます。アルミサッシの水平リサイクルフローは、その一環として未来の建設業界を支える重要な取り組みの一つとなるでしょう。