ごまの日に寄せて
11月5日は「ごまの日」。古くから日本の食文化に欠かせないこの食材が、今、危機に直面していることをご存じでしょうか。国内のごま自給率は驚くことに0.1%以下。食卓に上るほとんどのごまは海外から輸入されたものです。特に、気候変動や農業従事者の高齢化が進む今日、将来にわたってごまを安定的に手に入れることが難しくなる恐れがあります。
そんな危機感を抱く中、1883年創業の老舗ごまメーカー、株式会社和田萬が一歩を踏み出しました。自社でのごま栽培から製造、販売までを一貫して行うという取り組みで、日本の食文化を未来へつなごうとしています。
和田萬のごま栽培
和田萬は、2010年から自社農業を開始。奈良に位置するごま畑では、一般公募による農作業体験を通じて、参加者がごまの栽培から収穫までを実際に体験できるプログラムを提供しています。また、この取り組みでは、環境への配慮も忘れていません。肥料にはごま油を製造する際に出る搾りカスを使用しています。
焙煎技術の継承
和田萬では、収穫したごまを工場で丁寧に焙煎しています。「原料3割、焙煎7割」と言われているように、焙煎のプロセスがごまの味を大きく左右します。職人たちは火入れのムラをなくすため、一度に小さな量を焙煎し、しっかりとした味わいのごまを仕上げています。このプロセスにより、サクッとした食感と香ばしい風味が楽しめる製品が生まれています。
ごま和田萬 萬次郎蔵
株式会社和田萬の直営店舗「ごま和田萬 萬次郎蔵」は、本社の隣に位置し、歴史深い蔵を改装したものです。ここでは、独自の技術で製造された約100種類の商品を取り扱っています。いりごまやすりごまだけでなく、ごまを用いたふりかけやお菓子、さらに醤油やきな粉といったごまと相性の良い食材も販売しており、ごまのある生活を実感できる場所です。
今後の展望
和田萬は、これまで築き上げた伝統と技術を基に、日本の食文化の継承に取り組んでいます。自給率向上を目指し、より美味しく身体に優しい商品開発を進め、世界中の食卓に本物の味を届け続けるという強い意志を持っています。日本の食文化を支えるため、今後の活動から目が離せません。
ごま和田萬 萬次郎蔵の所在地は大阪市北区菅原町9-5。営業時間は10:00から18:00で、定休日はありません。興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。