人口減少時代を見据えた「縮充研究所」の設立
株式会社むじょうは、東京都目黒区に本社を置く企業で、人口減少を考慮した新しい社会設計を目指して「縮充研究所」を開設しました。この研究所は、持続可能な豊かさを追求するための横断的なアプローチを採用しています。経済成長が前提だったこれまでの社会設計が限界に達している中、次世代に向けた「トランジション・デザイン」を積極的に推進することが求められています。
なぜ「トランジション・デザイン」が必要なのか
近年、人口の減少や環境問題、資源の制約などの課題が深刻化しています。従来の「復興」や「活性化」というアプローチだけでは、これらの課題に十分に対応することは難しい状況です。むじょうでは、これまでの成長志向の社会から脱却し、縮小をポジティブに捉える「縮充」に焦点を当て、移行設計を進めることでより持続可能な未来を描こうとしています。
縮充研究所の具体的なアプローチ
「縮充研究所」では、人口減少社会に向けたトランジションを次の3つの軸で進めます。
1.
領域横断的な視点:空き家、農地、公共施設など、様々な領域を超えて課題を捉え、相互に連関させた解決策を見つけ出します。
2.
縮小肯定:成長を無理に追い求めず、縮小を前向きに考えたデザインを展開します。
3.
実装志向:理論の構築にとどまらず、現場での実験や適用を重視し、学んだ知識を社会に実装することを目指します。
これらのアプローチを通じて、持続可能な豊かさを実現するための社会デザインを提案していくのです。
現在進行中の研究テーマ
「縮充研究所」では、すでに以下のテーマに取り組んでいます:
- - 山林領域:全ての山林を保護するのではなく、山のトリアージモデルを開発する。
- - 農業領域:作付面積を縮小しながら、農家の収益安定を図るための実験を行う。
- - 教育領域:小規模校の特性を活かした教育資源活用モデルの検討。
- - 行政領域:町有地・公共資産を“増やさない”戦略の実施。
- - 暮らし領域:空き家や家財の縮充を通じた地域への心理的サポートの強化。
これらの研究はそれぞれ独立して行うのではなく、相互に影響を与え、効果を高めることが期待されています。
目指す未来と社会への貢献
「縮充研究所」は、2025年度中に「縮充白書」を発行する計画です。この白書では各領域における縮充のアプローチをまとめ、自治体や企業、市民に対して広く知識を提供することを目指します。また、パートナーシップを組む自治体や企業との共同プロジェクトを推進し、次世代の若手研究者への助成制度も設立予定です。
このように、むじょうは「縮充研究所」を通じて、人口減少という新しい社会の中での「豊かさ」のデザインを模索しています。私たちは、縮小を恐れず、豊かに生きるための新しい選択肢を現場の声から一つずつ生み出していくのです。