短時間勤務が注目される中、スポットワーカーの市場と賃金動向を分析
近年、短時間や単発の仕事が増加する中で、スポットワーカーの存在感が増しています。株式会社ツナググループ・ホールディングスが運営する「ツナグ働き方研究所」は、2024年12月度のデータを基に、スポットワーク市場の現状を詳細に報告しました。本稿では、その内容を掘り下げていきます。
スポットワークの求人倍率は3.47倍
2024年12月度におけるスポットワークの求人倍率は3.47倍を記録しました。これは前年比で+0.86ポイントの増加を示し、市場が活発化していることを裏付けています。ただし、前月比では求人数が4.7%減少したため、求人倍率は前月に比べて0.20ポイント低下し、4か月ぶりのマイナスとなっています。とはいえ、前年同月との差で見れば、依然として堅調な伸びを維持しています。
新規ワーク数は減少
同調査では、新規ワーク数が前年比で16.0%の減少を見せたことも明らかになりました。新規ワーク数は94,522件で、3か月連続して前年を下回っています。しかし、主要職種の中ではコンビニスタッフのみが前年より7.9%増加しており、働き方の多様性が見て取れます。
スポットワーカーたちの賃金動向
2024年12月のスポットワーカーの平均賃金は1,255円であり、通常のアルバイト賃金(1,219円)より36円高い結果となりました。この賃金は前月からも47円増加しており、前年比で見ると53円の上昇を示しています。特に賃金が高い職種は運送・ドライバー業務で、時給1,247円というデータが出ています。
スポットワークの定義
スポットワークとは、短時間・単発で働くスタイルを指し、「継続した雇用関係」を結ばない働き方とされています。このマーケットは、ギグワーク(例:ウーバーイーツ配達員)や単発バイトに分類され、多様な働き方を求める労働者に支持されています。
市場の現状
コロナ禍を契機に、スポットワーカーは急増しています。この背景には、働き方改革に伴う残業規制やコロナによる勤務時間の減少が影響しています。企業も必要な時に必要な人数を配置することから人件費の最適化を進め、中小企業の参入も増えています。さらに、スポットワーク求人事業者が参入し、タイムリーでオンデマンドなマッチングが可能になることで、ますます需要が高まると考えられます。
定点観測の意義
労働力調査によれば、未活用労働指標が導入され、追加就労希望者が「広義の失業者」とされるようになりました。スポットで働くことは、労働者の収入を安定させ、広義の失業率を改善する要因となります。マクロ視点では、潜在的な労働力の活用が国力の向上にも寄与することが期待されます。市場規模の動向や有益なトピック、内在する課題を可視化するデータレポートは、今後のスポットワーク市場の発展にも欠かせないものとなるでしょう。
ツナグ働き方研究所について
最後に、ツナグ働き方研究所は、さまざまな働き方の調査研究を行う機関で、企業人事や労働法制の分野での識者が連携して進めています。労働法制に関する施行のポイントや背景を理解し、労働者の「働く」を支えるための提言を行っており、「雇用の未来」を見据えた取り組みを続けています。