中小企業景況調査 第180回の結果
独立行政法人中小企業基盤整備機構が最近発表した2025年4〜6月期の中小企業景況調査によると、業況判断DI(業況判断指数)が4期ぶりに上昇したことが明らかになりました。この結果は、全体の景気が改善傾向にあることを示唆しており、特に製造業や非製造業で明るい兆しが見受けられます。
1. 業況判断DIの上昇
全産業の業況判断DIは▲16.3であり、前期から5.1ポイントの改善を見せました。これは、特にサービス業や建設業、小売業、製造業、卸売業といった各業種においてDIが上昇したことによるものです。これにより、多くの中小企業が業況改善に寄与していることが確認されました。
具体的には、製造業の業況判断DIは▲17.9で、2.9ポイント上昇しました。製造業が4期ぶりに改善を見せたことは、経済の復活に向けた重要なステップといえるでしょう。非製造業についても、サービス業が▲11.1(7.3ポイント改善)、建設業が▲8.5(6.3ポイント改善)、小売業が▲26.8(4.4ポイント改善)、卸売業が▲13.8(2.4ポイント改善)と、すべての業種で向上が見られました。
2. 原材料・商品仕入単価の傾向
また、原材料・商品仕入単価DIも全産業で70.8と、前期差0.4ポイントの上昇が記録され、3期連続での上昇となりました。「売上単価・客単価DI(前年同期比)」と比較しても、高止まりの状況が続くことから、企業は今後の価格設定に慎重になるべきでしょう。
3. 調査の概要と意義
この調査が実施されたのは2025年6月1日で、主に全国の商工会や商工会議所の経営指導員、及び中小企業団体中央会の情報連絡員による訪問面接方式で行われました。調査対象は中小企業基本法に基づいた全国の中小企業で、合計18,841社の中から17,899社が有効回答を寄せ、有効回答率は95.0%に達しました。
四半期ごとに実施されるこの景況調査は、約40年以上にわたり続き、中小企業の実情を把握するための重要な資料となっています。特に80%が小規模事業者で、そのうち約50%が個人事業主という日本の中小企業の厳しい現実を反映しており、経済政策の策定においても欠かせないデータです。
4. 今後の見通し
この調査結果から、中小企業は少しずつ回復の兆しを見せていることがわかります。特に製造業の改善は、今後の経済でも期待が持たれる部分です。従来のような経済成長が続くかは不透明ですが、中小企業の回復が地域経済全体に好影響を及ぼすことが予想されます。中小企業基盤整備機構は、引き続き中小企業支援や施策の立案を進め、よりよい経済環境の構築に努めていく所存です。
この報告書は、中小企業が直面する課題を理解し、解決策を見出すための手掛かりを提供するものであり、企業にとっては新たなビジネスチャンスの創出を促す良い機会となるでしょう。