電通がAIモデルを駆使した新リサーチツールを導入
株式会社電通が、新たにリサーチツール「People Research」の本格運用を開始しました。このツールは、1億人を基にした高解像度なペルソナを仮想再現するAIモデル「People Model」を搭載しており、生活者の深層心理や行動を蛍光しながら、より精緻なマーケティング活動を支援することを目的としています。
近年、生活者の価値観や行動は多様化しており、企業はこれに応じた商品開発やマーケティング戦略の策定が求められています。電通はこの課題を受けて、独自の大規模調査データを利用し、LLM(大規模言語モデル)を活用してファインチューニングした「People Model」を開発しました。このモデルは、従来までの調査方法と異なり、生活者のインサイトを可視化することで、企業が必要とする情報を迅速に提供することができます。
「People Research」の機能
アスキング調査機能
「People Research」は、従来の単一回答や自由記述回答、さらには複数回答形式の設問にも対応するアスキング調査機能を持っています。これにより、企業は任意の質問を設定し、その回答を元に詳細なセグメントを抽出することが可能です。複数の選択肢から回答を選べるMA形式の設問は、生活者の多面的な価値観や行動を的確に捉えるのに役立ちます。
デプスインタビュー機能
さらに、AIQQQ TALKとの連携により、特定のセグメントの代表者に対して1対1のデプスインタビューを行うことができます。この機能は、従来のインタビュープロセスを大幅に短縮し、通常数日間かかるところを数分から数時間で実施できるようにします。これにより、生活者の行動背景や心理的要因を深く把握し、更なる施策の立案に繋げることができます。
今後の展望
今回の「People Research」の運用開始により、ニッチな層や新しい価値観を持つ生活者に対しても柔軟な調査設計が可能になり、従来の調査方法では捉えきれなかった生活者クラスターへの深掘りが実現します。クライアントにとっては、ターゲットに即したマーケティング施策が立案できるだけでなく、なぜその回答が得られたのかといった背景要因の抽出も可能になります。このようにして、単なる数値結果にとどまらない、生活者の意志決定プロセスを捉えることが期待されています。
電通は、今後も「People Model」の進化を続け、さらなる機能開発を通じてクライアントの抱える多様なマーケティング課題を解決していく考えです。広告業界におけるデジタル化の加速が進む中、AIを駆使したリサーチは、今後ますます重要な役割を果たすことになるでしょう。