北九州市と東京科学大学の連携がもたらす未来
2023年8月18日、北九州市が、日本の理系研究の最高峰を誇る国立大学法人東京科学大学、および公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)との三者間で連携協定を結んだことが発表されました。これは、北九州市が提唱した「G-CITY戦略」の実現に向けた重要な第一歩として位置づけられています。
G-CITY戦略とは?
「G-CITY戦略」とは、北九州市が学術研究都市を進化させるために策定したビジョンです。この戦略では、「つながる学術研究都市」というコンセプトのもと、国内外の大学や研究機関、企業といったさまざまなステークホルダーとの連携を強化することが掲げられています。北九州市は、東京科学大学との協定をその第1弾と位置付け、新たなイノベーションを生み出すための土台を築くことを目指しているのです。
武内市長は、会見の中で「北九州市は学術研究都市をバージョンアップする戦略として新たなイノベーションを生み出したい」と強調しました。これにより、地域経済の活性化や、次世代産業の創出に貢献することが期待されています。
協力の内容
具体的な協力内容としては、東京科学大学の大嶋副学長がFAISの「CINO(Chief Innovation Officer)」に就任し、この大学が持つ産業界との連携力や研究成果を地域社会に実装する手法を導入していきます。また、半導体技術や宇宙関連の研究など、多様な分野で共同研究を進めることで、新技術の開発や社会への応用が目指されます。
さらに、学術研究都市内には「北九州ラボ」を設け、東京科学大学の各種プロジェクトが円滑に進行できる環境を整える計画です。このラボは、研究者と企業が密に連携しながら、研究成果を実社会での問題解決に生かすための拠点となるでしょう。
東京科学大学について
東京科学大学は2024年10月に国立大学法人東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し誕生します。この大学は、卓越した研究施設や豊富な産学連携のノウハウを有し、国内外の企業や研究機関との強力なネットワークを築いています。これにより、北九州市の「G-CITY戦略」が一層強力に推進されると期待されています。
具体的な成果目標
北九州市の「G-CITY戦略」では、次のような具体的な成果目標が設定されています。まず、学術研究都市が得る外部研究資金を5年後には50億円に、10年間で30社のスタートアップ起業を促進し、また10年間で新たに200件の誘致件数を達成することを目指しています。これにより、学術と産業の相互作用を高め、新しい価値を生み出す街に進化することが期待されています。
市民、企業、大学が一体となり、この協力を通じて新しい時代のイノベーションを共創する北九州市の先駆的な取り組みに、今後の展開に大いに期待したいところです。