タクシー配車の未来を変える新技術、京都大学との共同研究
newmo株式会社と京都大学の首藤研究室による新たな共同研究が、国際会議DS-RT 2025に採択されました。このプロジェクトでは、タクシーやライドシェアサービスに適した配車の高速シミュレーション技術の開発を進めています。本研究の成果は、乗客とドライバーのマッチング品質を考慮したもので、配車サービスの効率を大幅に向上させることを目的としています。
研究の背景と意義
競争が激化する配車サービスにおいて、乗客の待ち時間やドライバーの収益は、アルゴリズムの性能に大きく影響されます。しかし、実運用環境でのアルゴリズムテストはコストがかかり、乗客やドライバーに負担を与える可能性があったため、効率的なテスト手法が求められていました。
この研究では、実際の都市でのライドシェアを模擬したシミュレーションを開発し、さまざまなマッチングアルゴリズムのテストを可能にしました。具体的には、配車の待ち時間を最大40%短縮することに成功しており、これにより新たな自動運転タクシー事業へも応用が期待されます。
技術詳細とシミュレータの機能
開発されたシミュレータは、オープンソースのOSRM(Open Source Routing Machine)を利用しており、実際の走行経路や移動時間を反映したテストが行えます。また、高速でのシミュレーションが可能なイベント駆動型のアプローチを採用し、都市規模でのサービスを、わずか200秒程度でシミュレートできる点は大きな強みです。さらに、近似的なデータを用いることで、10秒程度の短時間でのシミュレーションも可能です。
本研究では、back-to-back方式やドライバーの再割り当てを多角的にテストし、最も効率的なマッチング方法を模索しました。その結果、back-to-backによる手法で最大15%の待ち時間短縮、加えてドライバー再割り当てによる手法で最大40%の効率向上へ成功しています。
国際会議での成果発表
この研究成果は、2025年9月17日から19日にチェコ・プラハで開催される『The 29th International Symposium on Distributed Simulation and Real Time Applications』(DS-RT 2025)で発表される予定です。このプラットフォームでの発表を通じて、更なる国際的な識見やフィードバックを受け、新たな研究のスタートに繋げることを目指しています。
発表情報
- - 会議名:The 29th International Symposium on Distributed Simulation and Real Time Applications(DS-RT 2025)
- - 日程:2025年9月17日(水)~19日(金)
- - 開催地:チェコ・プラハ
- - 発表形式:Regular paper(口頭発表)
- - 論文タイトル:Ridesharing Simulation to Explore Matching Algorithms
- - 著者:首藤一幸や新興の研究者たち、newmoのチームメンバーが共同執筆しています。
共同研究者プロフィール
首藤一幸教授は、京都大学の学術情報メディアセンターで教授として教鞭を執っています。情報科学の分野で博士号を取得後、産業技術総合研究所や東京工業大学などで研究を重ね、現在は分散システムやデータ工学に関する研究に注力しています。
本研究の成果は、タクシー配車サービスの新たな paradigm shift をもたらす可能性を秘めています。今後の展開にご期待ください。