オフィストイレの生理用品設置拡大!東京建物が「LAQDAプロジェクト」で多様性を促進
東京建物が管理運営するオフィスビルへの生理用品設置が拡大している。2021年から「わたしの暮らし研究所」と共同で進められている「LAQDAプロジェクト」は、オフィス環境における多様性と包容性を促進し、従業員の働きやすさと企業の人的資本経営に貢献する取り組みだ。
同プロジェクトは、オフィスビル内のトイレに生理用品を設置することで、生理中の従業員の負担軽減を図るだけでなく、生理に対する理解を深め、職場環境における多様性と包容性を促進することを目指している。
背景:生理用品設置の必要性と課題
わたしの暮らし研究所は、2019年に行った実証実験で、生理がある従業員がオフィス内で生理用品を入手することに多くの課題を抱えていることを明らかにした。この結果を受け、同研究所はLAQDAプロジェクトを立ち上げ、生理用品設置を通じて、生理期間にある方の自己受容を促し、周囲環境の多様性と包容性を醸成するプログラムを提供している。
東京建物との連携:多様なステークホルダーとの協働
東京建物は、LAQDAプロジェクトに賛同し、2021年から複数回に渡る実証実験で協業してきた。現在、東京建物が管理運営する都内の6棟(東京建物八重洲ビル、東京建物日本橋ビル、東京建物神保町ビル、東京スクエアガーデン、大崎センタービル、霞が関コモンゲート西館)のオフィスで、生理用品が設置されている。
テナントからの反響:従業員満足度向上と採用への貢献
オフィストイレへの生理用品設置は、テナント企業からも高い評価を得ている。2023年3月に行われた6棟合同の調査では、生理の経験がない方も含め1800名の方がアンケートに回答し、92.8%が「次にオフィスを移転する際にも生理用品が設置されているオフィスに移転したい」と回答した。
さらに、新卒採用に貢献した事例もある。新卒で入社した留学生が「トイレに生理用品があったから」という理由で入社を決めたというケースもあり、従業員にとって働きやすい環境を用意している企業として評価されている。
課題克服:運営体制の構築と現場の声を反映
LAQDAプロジェクトでは、生理用品の設置・補充は清掃会社の人員負担になることから、ビル側の理解を得ることが導入の課題となっていた。東京建物は、各棟の運営担当者、清掃担当者と密に連携することで、現場の声を反映した改善を重ね、関係各社の経営層が課題認識を共有し、プロジェクトの実施を実現した。
今後の展開:全国への拡大とDEI啓発
2024年3月には、株式会社LAQDAを設立し、同社がケース販売・セミナー実施を行う。2024年度はさらに活動を拡大し、さまざまな場所でトイレの生理用品設置をきっかけにDEIを考えるLAQDAプロジェクトを広めていく予定だ。
LAQDAプロジェクトが目指すもの
LAQDAプロジェクトは、生理用品の設置を通じて、職場環境における多様性と包容性を促進し、従業員の働きやすさを向上させることを目指している。このプロジェクトは、生理用品という具体的なアイテムを通して、職場におけるジェンダーの平等や多様性の重要性について考えるきっかけを提供している。
生理用品の設置は、一見すると小さな取り組みのように思えるかもしれない。しかし、それは従業員にとって非常に大きな安心感を与え、働きやすい環境づくりに貢献する。東京建物の取り組みは、企業が積極的に多様性と包容性を推進していくためのモデルケースとして注目される。