台湾の半導体業界が、今まさに大きな変革の波に乗っています。台湾積体電路製造(TSMC)が2025年下半期に新竹と高雄で予定している2ナノプロセスの量産開始に向けて、台湾全体のサプライチェーンが高度化しています。
この新しい製造プロセスは、材料、設備、工場の関連、検査、さらには先進封止など、あらゆる分野で台湾企業にとって新しい受注機会を創出しています。特に、ダイヤモンドディスクや再生ウエハーを手掛けるキニック、新応材のリンス液やEBR剤、さらにはPSIやサイエンテックなどの企業が生産能力を強化し、競争力を高めています。
また、2025年1月から4月の間に、台湾電子・半導体生産設備産業の販売額は676億台湾元に達し、前年比で30.55%の増加を記録しました。なかでも、半導体生産設備や部品が45.64%の増加を牽引しており、特にPCB(プリント基板)生産設備も27.97%の好調な推移を見せています。ただし、LCDパネル設備は41.87%減少しており、業界内での格差が拡大しています。今年2026年も、先進プロセスやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、車載需要を背景に、半導体設備分野は成長の見込みが続いています。
さらに注目すべきは、再生ウエハーや半導体設備を製造する辛耘企業(サイエンテック)の動きです。2024年には売上96.9億元を見込み、2025年には初めて100億元を突破する見通しです。これにより、同社はTSMCとの提携を強化し、先進封止向けのバッチ式ウエットプロセス装置やFOPLP(Fan-Out Panel Level Packaging)対応設備の開発に力を入れています。こうした企業の躍進は、台湾における半導体業界のさらなる成長を予感させます。
また、虎山実業も米国における関税摩擦を受け、北米向けの受注を増やしています。アフターマーケット用のドアハンドルを主力商品とする同社は、2025年7月に前年比36%の売上増を達成しており、中国メーカーから移行してくる需要を取り込んでいます。さらに、ベトナムへの生産移管を進め、高付加価値の部品を300種類以上開発し、多様なニーズに応えています。このような柔軟な取り組みは、台湾企業全般に競争優位をもたらしています。
台湾の製造業は、今後もこうした取り組みを通じて更なる競争力を高め、市場機会を創出していくでしょう。テクノロジーの進化は早く、台湾の企業がいかにその流れに乗り尽くすかが、今後の成長を左右するカギとなります。
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