AIの浸透が変える中国生活者の意識と行動の動向
博報堂生活綜研・上海が開催した第13回「生活者“動”察”研究発表会」では、先進技術であるAI(人工知能)が中国生活者の意識や行動に与える影響に焦点を当てました。今年の発表テーマは「AI浸透の先に、中国生活者にみえてきた新たな意識と行動の兆し」であり、2025年に向けたAIの進化と、それが生活者の日常にどのように反映されているのかを探るものでした。
近年、中国においてAIは急速に浸透し、生活者のライフスタイルや価値観に大きな影響を及ぼしています。調査によると、AIを利用していると答えた人の割合は61.6%に達し、その中でも週に1回以上利用している人は約85%に上ります。特に30代は仕事や育児の忙しい日常の中で、AIを用いて時間を効率的に活用している様子が見受けられます。
新たな意識の形成
中国生活者は、AIを単なる「作業効率化のためのツール」として利用しているだけでなく、趣味を深めたり、自己成長のための支援として活用しています。例えば、AIを通じて知識や技能を習得し、自分の情緒をコントロールすることを意識している人々も増加しています。このような利用傾向から、生活者はAIとの関わりを単なる業務の補完ではなく、より深い自己探求の道具として位置付けています。
また、調査結果からは、AIの利用が同時に生活者の強みを再発見することへもつながっていることが明らかになりました。生活者はAIとの対話を通じて新しい視点を得て、インスピレーションを受け、自己の可能性を実現するためにAIを使いこなす様子が見られます。このプロセスを通じて、中国生活者の間には「智向(Zhixiang)」という新たな欲求が形成されてきています。これは、AIを巧みに取り入れ、自分らしさを磨くことによって、進むべき方向性を見出したいという意思を表しています。
AIに対する前向きな意識と懸念
もちろん、AIの普及にはリスクも存在します。社会では「仕事が奪われる」、「社交能力が低下する」といった懸念が持ち上がっていますが、中国のAI利用者はこうしたリスクを認識しつつも、ポジティブな側面に目を向けています。実際、AIを活用することで自らの強みや趣味を見つけ、自己の成長を促進する機会と捉えている様子がはっきりと見えます。
AIに対する意識調査の結果、約68.6%の利用者がAIに期待を感じていると回答し、タスク効率化のために96.8%が利用意向が高いとしています。これにより、AIが生活者の精神的な満足感や自己探求の手段へと進化していることが浮き彫りとなっています。
まとめ
最終的に、中国におけるAIの浸透は、生活者の新たな行動や意識の変化を促しています。博報堂生活綜研・上海の研究では、「生活者“動”察」の発表を通じて、これからの中国におけるAI活用の可能性を広げる重要性が強調されています。「智向」と名付けられた新たな欲求は、将来的にさらに拡大することが予想され、AIと共に新しいライフスタイルを確立する生活者が増えることでしょう。これは不確実性の高い現代において、一人ひとりが自らのアイデンティティを強化し、新たな未来を切り開くための鍵となるのです。
参考情報
本研究に関する詳しいレポートは、博報堂生活綜研・上海までお問い合わせいただければ、日本語や中国語、英語の資料を提供しています。