ダイバーシティとインクルージョンの現状を探る
リ・カレント株式会社が2025年の5月に実施した職場におけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に関する意識調査の結果は、さまざまな課題を浮き彫りにしました。調査は全国にいる420人の就業者を対象に行われ、企業におけるD&I施策の実施状況や受容の実態について質問が投げかけられました。
調査の概要
調査結果によると、まず勤務先がD&I施策を実施しているかどうかを尋ねたところ、41.8%の回答者が「わからない」と答えました。施策の実施状況の認識が不明確であることから、企業におけるD&Iの浸透に向けての課題が明らかになっています。また、施策が実施されていると回答した人々の中で、その施策に対する評価が「どちらともいえない」とした回答が41.0%に上り、これもまた施策の内容や効果が社員に届いていない証拠と言えます。
職場の多様性受容実態
さらに、回答者が職場で自身の多様なバックグラウンドが受け入れられていると感じるかどうかを問いかけたところ、「おおむねそう思う」が32.3%、「どちらともいえない」が29.0%という結果になりました。多様性の実感が薄れる中、「働く際に関係がない」とする意見や、「話し合う雰囲気がない」という声が多く寄せられました。これにより、職場のD&Iに対する実感には個人差があることが読み取れます。
背景にある問題
職場でのマイノリティの意見は、時に無視されがちです。「受け入れられている」と感じる回答者からは「(自分の属性は)働く上で関係がない」という意見が集中的に見られました。これは一見、D&Iが十分に機能しているようにも思えます。しかし、受容されていないと感じる回答者からの「オープンに話し合う雰囲気がない」という反応は、組織の風土に改善が必要であることを示唆しています。
D&I施策の真の意義
D&I施策が単に形だけに留まらず、社員の日々の業務や意識にどのように影響を及ぼすかが重要です。評価が「わからない」とか「どちらともいえない」となった統計は、施策の認知不足を反映しており、企業の意図が全く浸透していないことを物語っています。特にその施策が実施されている場合でも、その内容や理由を社員に十分に説明する必要があるでしょう。
企業の役割と責任
リ・カレント株式会社は、「『働楽社会』の実現への貢献」を理念に掲げ、組織の人材開発やD&Iの促進に努めています。そのサービスの一つは「ダイバーシティ組織診断」で、企業がどのように多様性を理解し、受け入れているかを可視化する手助けを行っています。企業はD&I施策を実施する際、その目的や意義を明確にし、社内コミュニケーションを図ることが求められています。従業員同士でオープンな議論が促進されれば、より多様性が受け入れやすい環境が整備されるでしょう。
まとめと今後の展望
この調査結果は、D&I推進施策の有効性を高めるために何が必要かを再考させるものでした。職場の多様性が多くの企業で意識されるようになった今こそ、組織一体となってその理念を浸透させていくことが急務です。リ・カレント株式会社は引き続き、効果的なD&I施策の実現に向けて、研修プログラムや組織開発コンサルティングなどを通して貢献していきます。期待されるのは、すべての従業員が自分のバックグラウンドを尊重され、活かされる職場の実現です。