背景
2025年、アパレル業界における偽造品の流通は急増しており、特にSNSを通じての情報拡散がその拡大を助長しています。新作や限定商品が旬な話題となる中で、その熱気に乗じて偽造品が市場に流入している現状があります。スニダンが実施した調査によると、約60パーセントの利用者が「偽造品が届く不安がある」と答え、5人に1人が実際に偽造品を購入した経験があることが明らかになりました。特に20代では無自覚な購入が多く、これは消費者にとって日常的なリスクとなっています。
このような状況に対し、約80パーセントのユーザーは「偽造品と知っていれば購入しない」と回答。多くの消費者が正規品を求める声が高まっています。加えて、偽造技術自体も進化しており、縫製やロゴ、パッケージの細部まで、正規品に近い仕上がりを再現するケースが増加しました。例えば、スニダンの鑑定拠点である「スニダンベース」では、X線や赤外線、UVライト、マイクロスコープなどを用いて、こうした精巧な偽造品を識別・研究しています。
本レポートでは、2025年に見られた二次流通市場における偽造アパレルのトレンドを総括しました。
偽造品が目立ったアパレルブランド5選
1. Chrome Hearts
商品名: Chrome Hearts Trucker Cap CH "Black"
真贋ポイント: 偽造品はツバやクラウンの形状が異なり、バランスが崩れているのが特徴です。メッシュ部分は柔らかく型崩れしていることが多く、使用されるコンチョの素材も異なるため、光沢や加工に違いが見られます。
2. THE NORTH FACE
商品名: The North Face 1996 Retro Nuptse Jacket "Black"
真贋ポイント: 胸のロゴ刺繍において、「C」と「O」の書体が異なり、使用される糸の種類にも差異があります。また、刺繍の仕様や形状においても明確な違いが存在します。
3. ARC'TERYX
商品名: ARC'TERYX Beta LT Jacket "Black"
真贋ポイント: 偽物はフロントやポケットに使用されるファスナーにブランド刻印がなく、本体に施される刺繍の形状に目立つ違いがあります。
4. MONCLER
商品名: MONCLER Maya Short Down Jacket "Black"
真贋ポイント: ブランドロゴの再現に精度が要求され、書体の曲線や間隔に違いがあります。刺繍の精度不足から不均一な仕上がりが見受けられます。
5. Louis Vuitton
商品名: Louis Vuitton x Takashi Murakami Nano Speedy Monogram "Multicolore Blanc"
真贋ポイント: 偽造品ではキーベルのサイズが異なり、レザータグのアイコンモチーフの形状や押印の深さに明確な違いがあります。
購入時の注意点
特にフリマアプリやECサイトでは、「並行輸入品」、「海外限定」、「ノベルティ」といった注意書きがある偽造品をよく目にします。一見魅力的な表現に見えますが、偽造業者の手口であることが多いです。特に「海外限定」や「現地仕入れ」といった表現は、消費者を引き寄せる一方で注意が必要です。実際には正規販売経路を経ていない商品が多く紛れ込んでいます。
ただし、偽造品が常に並行輸入品である訳ではありません。合法的な並行輸入も存在し、真贋鑑定を経た商品を選ぶことが重要です。
スニダンの鑑定技術と未来
スニダンは全ての取引商品に真贋鑑定を導入し、様々な機器を利用して内部構造や素材の違いまで確認しています。この技術は偽造品の進化に対応するために重要です。また、2025年には「スニダン鑑定研究所」を設立し、偽造品の研究と鑑定技術の高度化を進めています。この研究所は、新しい挑戦に対応しながら、偽造品流通ゼロを目指した取り組みを行なっています。消費者が安心して取引を楽しめるマーケットプレイスの実現へ向けて、努力を続けています。