カットカラー専門の「チョキペタ」では、これまで廃棄されていたヘアカラー剤のアルミチューブを回収して再資源化する新たな取り組みを本格的に開始しました。この活動は、美容室チェーンの株式会社アルテジェネシスが運営し、約370店舗を展開する中で、横浜市中区に本社を置くグループ会社の株式会社C&Pが中心となって進めています。
本プロジェクトは、アルミニウム二次合金の製造を手がける株式会社カンノと連携し、約半年の実証期間を経て実現に至りました。チョキペタでは、カラー剤の使用量がデザイン系の美容室に比べて多く、これにより使用済みのアルミチューブが日常的に発生します。そのため、同店では「分別」「回収」「再資源化」の一連のフローをしっかりと構築し、2025年3月から試験店舗での実施を経て、2025年10月から正式に運用を開始します。
実際、2025年9月末までに62kgの使用済みアルミチューブを回収することができましたが、コスト面においては課題が残ります。それでも「環境配慮を最優先する」という方針のもと、持続可能なリサイクル活動を進める姿勢が評価されています。
一般的に美容室では、大量に使用されるヘアカラー剤から出るアルミチューブについては、分別が難しく、廃棄物処理の際にも課題が残ります。しかし、アルミニウムは国内では新たに金属を生産できず、再生品に依存しています。アルミチューブのリサイクルには環境負荷を低減できる可能性が高いとして、持続可能な資源利用の観点からも注目されています。
現場の美容師たちの意識も重要です。アルテグループでは、2025年4月にSDGsに関する意識調査を実施し、1,104名の美容師のうち、81%が環境への配慮を必要と感じていることがわかりました。他方で行動にはギャップがあり、具体的にどう取り組むべきか悩む声も多く聞かれます。こうした現場の意見を反映し、アルテグループはトップダウンではなく、ボトムアップによる施策を採用しています。
改めて、アルミチューブリサイクルには多くの課題が存在しますが、実証期間中の調査では、現場での運用が可能であることを確認し、本格的な取り組みへと進展しています。アルミ製品は生活に欠かせない重要な資源であり、リサイクルが進めば環境負荷の低減に貢献します。今後はチョキペタの成功を礎に、美容業界全体へとこの取り組みを広げ、持続可能な資源循環を実現することを目指しています。
また、株式会社カンノの担当者は「美容室がリサイクルに取り組むことで、一般消費者との接点が増えることが非常に重要」と発言しています。リサイクル材を使用した製品の選択を促し、動脈産業と静脈産業の好循環を生むことが期待されているのです。
今後の展開として、チョキペタの成果をもとにアルテグループ内での他ブランドへの導入を進めるとともに、美容団体や関連業者に呼びかけ、業界全体でのリサイクルへの取り組みを加速させていく方針です。持続可能な社会の実現に向けて、美容業界が積極的に貢献していくことが期待されています。