SiC基板の新技術
2021-03-01 19:36:47

関西学院大学と豊田通商が技術革新したSiC基板の新時代

未来のパワー半導体技術がここに



近年、電力効率化の重要性が増す中、SiC(シリコンカーバイド)基板に対するニーズが注目されています。関西学院大学と豊田通商は、これまでのパワー半導体市場に革命をもたらす革新的なプロセス技術「Dynamic AGE-ing®」を開発しました。この技術の開発背景や、今後の展望に迫ります。

SiC基板とその重要性


SiC基板は、従来のシリコン基板に比べて電力の損失を大幅に削減し、高い耐圧を持つため、自動車、鉄道、さらには電力産業など、さまざまな分野での応用が期待されています。特に、電動車が普及する中で、SiCの需要は急速に高まっています。しかし、これまでの技術では供給されるSiC基板に内在する欠陥が性能を妨げる大きな問題となっていました。

新技術「Dynamic AGE-ing®」の登場


関西学院大学の金子忠昭教授が豊田通商とともに開発した「Dynamic AGE-ing®」は、従来の機械加工に代わる熱エッチングと結晶成長を統合した新しい非接触型プロセス技術です。この技術では、SiC基板を超高温の気相環境におき、原子レベルでの自律的な整列を促進します。その結果、加工による歪みや内在する基底面転位(BPD)を除去し、高品質なSiC基板の実現を目指します。

オープンイノベーションの実現


この度の技術開発は、従来の産学連携の枠を超えたオープンイノベーションによって成し遂げられました。関西学院大学が長年にわたり積み上げてきたSiC関連の基礎技術と、豊田通商の豊富な企業ネットワークを駆使することで、より多くのユーザー企業との協力を得て、実用化に向けた道筋を整備しました。

今後の展望


関西学院大学と豊田通商は、2021年度上期において「Dynamic AGE-ing®」を適用したSiC基板のサンプル供給を開始しました。今後は半導体デバイスメーカーと連携し、実用化に向けた評価と検証を進行していきます。また、自動車産業を中心に高品質な6インチSiC基板の供給を目指し、さらなるビジネスパートナーの拡大を図っています。

さらに、今後は大口径の8インチSiC基板への技術適用も加速させ、より多様なニーズに応えていく予定です。これにより、パワー半導体市場における高品質でコスト競争力の高い製品を提供し、グリーンイノベーションの一翼を担うことを目指しています。

まとめ


関西学院大学と豊田通商が共同で実現した「Dynamic AGE-ing®」は、SiC基板の生産における新たな可能性を切り拓く技術です。電動車や電力産業の発展に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。今後の取り組みに注目していきましょう。

会社情報

会社名
学校法人関西学院
住所
兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155
電話番号

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