「美と殺戮のすべて」は、写真家ナン・ゴールディンの波乱に満ちた人生と、医療用麻薬オピオイドとの闘いを描いたドキュメンタリー映画です。
この映画は、第79回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、第95回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされるなど、世界中の映画祭で高い評価を得ています。
ナン・ゴールディンは、1970年代から80年代にかけて、ドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーンなどを題材に、過激な作品を発表し、一躍時代の寵児となりました。しかし、彼女は自身もオピオイド中毒に苦しんでいたことを告白し、2017年からは、人々の苦しみから利益を得ている製薬会社との闘いを開始します。
この映画は、ゴールディンがオピオイド中毒と闘う姿だけでなく、彼女の人生、キャリア、そして社会問題に対する強い信念を描いています。ゴールディン自身の言葉と、彼女が撮影したスライドショーが、映画の重要な構成要素となっています。
監督は、「シチズンフォースノーデンの暴露」で第87回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したローラ・ポイトラス。彼女の確かな演出力によって、ゴールディンの強い意志と苦悩が、鮮やかに映し出されています。
「美と殺戮のすべて」は、単なるドキュメンタリー映画ではなく、社会問題に対する警鐘を鳴らす作品です。オピオイド問題、製薬会社の責任、そして個人の闘いの力など、現代社会が抱える問題について、改めて考えさせられる映画となっています。
2024年11月8日には、Blu-ray&DVDが発売されます。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。