江の島ゆかりの杉山和一と琴鶴の独演会に迫る
2024年11月11日、横浜にぎわい座にて、宝井琴鶴が自身の神奈川をよむシリーズ第十弾を発表します。この公演では、江の島にゆかりのある偉人、杉山和一の物語が演じられます。杉山和一は江戸時代の鍼師で、管鍼術という新しい療法を生み出した人物です。しかし、彼の人生は困難に満ちていました。幼少期に伝染病により失明し、17歳で江戸に出て修行を始めるも、技術不足から破門されるという挫折を味わいます。
彼の再生の物語
杉山和一は、江ノ島の弁財天を信仰し、修行をすることで新たな鍼術の開発に成功します。この物語では、彼を支えた名もなき女性、セツの視点も描かれ、琴鶴の独自の解釈が施されています。セツは杉山和一の近くで彼を導いた人物ですが、歴史に名を残していない存在です。この公演を通じて、杉山和一という偉人だけでなく、彼の背後にいた人々にも光が当てられることでしょう。
芸能ホールへの進出
今回の公演は、琴鶴にとって大型の芸能ホールでの初独演会であり、これまでの若手芸人の登竜門シリーズを経ての大舞台進出です。彼女は2019年から続けてきた「神奈川をよむ」シリーズを今後も展開し、県内の伝承や物語を講談で深めていく意向です。新たな舞台での口演に期待が高まります。
制作の背景
カルチャーと地域貢献の関係性も考慮されており、「恩愛の管鍼杉山和一」という演目は、視覚障がい者のための社会福祉活動を行う桜雲会からの依頼を受けて創作されました。この取り組みを通じて、杉山和一の物語の重要性が再確認され、初演は江島神社の近くで視覚障がい者向けに行われ、好評を博しました。
展示も同時開催
公演期間中、横浜にぎわい座の2階では関連展示「杉山和一の足跡をたどる江ノ島、本所一ツ目・江島杉山神社」も開催されます。この展示では、杉山和一の足跡を巡る江の島や江島杉山神社の歴史を振り返ります。入場は無料で、展示のみ見学することもできます。
この独演会は、歴史の中に埋もれた人物たちの物語をいかに現代に生かすか、という貴重な機会でもあります。琴鶴の口演に触れることで、杉山和一や彼を支えた人々の思いが生き生きとした形で語られることでしょう。音楽や伝承と融合したプロジェクトにどうぞご期待ください!