TKC全国会と日本政策金融公庫、風穴を開ける新提携スキーム「TKCファストリンク」
2023年9月、税理士や公認会計士で構成される「TKC全国会」が、日本政策金融公庫と提携し、新しい融資支援スキーム「TKCファストリンク」を発表しました。このスキームは、中小企業や小規模事業者に対して迅速かつ円滑な資金供給を行うことを目的としています。
迅速な融資実施を可能にするシステム
「TKCファストリンク」は、従来の融資申込みや審査、モニタリングの手続きをデジタル化し、迅速化を図っています。このスキームを活用することで、TKC会員が紹介した企業に対する融資の審査結果は、申込みから約5営業日以内に出る見込みです。また、新規創業の場合は、最大でも7営業日以内に結果が伝達されます。
この迅速さは、貸し付けを必要とする企業にとって大きな利点となるでしょう。特に、中小企業においては時間が命であるため、このスキームによるスピード感は評価されています。「ファスト」はスピード感を、「リンク」はTKC全国会と日本公庫、事業者との連携を示しています。
融資審査の効率化
本スキームでは、TKC会員が事前に決算書や試算表を日本公庫に提出します。このプロセスによって、必要な書類が効率よく整理され、融資審査が迅速に行われるようになります。さらに、「日本公庫ダイレクト」というオンライン窓口を通じて、資料の提出が「タイムリー」かつ「安全」に行われるため、より安心です。
信頼性の高い会員による紹介
このスキームの構築には、TKC会員からの信頼性の高い融資紹介が基盤にあります。日本政策金融公庫は、TKCモニタリング情報サービス(MIS)を通じて、会員が紹介する企業の信用リスクを徹底的に分析。これによって、デフォルトの率が大幅に抑制されていることが分かりました。
その結果、TKC全国会会員が作成する決算書の信頼性の高さが証明され、新たな提携スキームの実現に至ったのです。
TKCモニタリング情報サービス(MIS)とは?
「TKCモニタリング情報サービス」は、企業の財務情報をクラウド上で開示するサービスで、これにより金融機関に対して正確な財務データが提供されます。その利用件数は62,464件を越え、全体では35万件以上となっており、多くの金融機関での利用が進んでいます。特に、大手銀行や地方銀行、信用金庫など、多様な金融機関がこの信頼性の高いデータを基に融資判断を行っています。
中小企業にとってのメリット
「継続MASシステム」を利用した中期経営計画や短期業績管理計画の策定を支援することで、企業は黒字決算を実現できる可能性が高まります。更に、このシステムを活用することで、経営者は経営計画に基づく適切な業績管理を行うことができるのです。
おわりに
「TKCファストリンク」は中小企業による資金調達の新たな選択肢を提供し、融資に対するハードルを下げることに寄与するものです。今後、TKC全国会と日本政策金融公庫の連携によって、中小企業への資金供給が一層スムーズになることが期待されます。この革新は、まさに風穴を開けるものと言えるでしょう。