映画化決定の小説『アインが見た、碧い空。』
小説と専門家の解説が融合した本書『アインが見た、碧い空。 あなたの知らないベトナム技能実習生の物語』は、日本の技能実習制度の深層を知るための作品です。著者は近藤秀将氏で、彼はベトナム国立フエ科学大学の特任教授として活動する傍ら、技能実習生の教育にも関与しています。サブタイトルが示す通り、この書籍は単に物語を語るだけでなく、現実の問題を掘り下げ、読者に考えさせる内容となっています。
本書では、ベトナムの大学を卒業したアインが、日本の技能実習制度に参加する過程が描かれています。労働条件の厳しさやキャリアの搾取等、アインと彼女を取り巻く人々の試練や成長がリアルに描かれ、また、各シーンには専門家の説明が加えられ、制度の実態が浮き彫りになります。この組み合わせが、読者に深い理解を促します。
技能実習制度を巡る状況とは?
本書は、日本の技能実習制度が直面している問題についても触れています。近年、アメリカ国務省からの指摘により、制度の存在が悪用されている事例が報告されており、日本政府においても見直しが必要とされています。特に、実習生が抱えるリスクや、経済的な側面から制度が作るキャリアの搾取について掘り下げており、誰もが理解できる形で情報を提示しています。
実写映画『縁の下のイミグレ』の原案作品
『アインが見た、碧い空。』は、2023年に公開予定の実写映画『縁の下のイミグレ』の原案となっています。この映画は、監督のなるせゆうせい氏によって制作され、社会問題をテーマにしたブラックコメディタッチで描かれる予定です。アジアの技能実習生と日本社会の関係を、映像を通じて新たな切り口で訴える作品となるでしょう。公式サイトやTwitterも開設され、期待が高まっています。
特別講演会への招待
さらに、書籍を購入した読者には特典として著者による特別講演会が無料で招待されます。この講演では技能実習制度に関する深い洞察が得られる貴重な機会となるため、興味のある方はぜひご参加ください。(詳細は公式サイトを参照)
本書のあらすじ
物語の軸となるのは、夢を抱いて日本に渡った技能実習生アインです。彼女は金銭的な理由から学歴を詐称し、過酷な状況で働きずつけられます。そんな中、アインの友人が実習先から失踪する事件が発生。アインは、自身の未来がどれほど犠牲にされているのかを痛感します。しかし、彼女をサポートしようとする人々の存在に気づき、復活への道を模索し始めます。
近藤秀将氏のプロフィール
著者の近藤氏は、技能実習生の問題に真摯に向き合ってきた人物であり、実務専門家としての経験も豊富です。若者たちの将来を守るための活動を通じて、多文化社会の重要性を訴えてきた背景がこの作品にも色濃く表れています。
書誌情報
- - 書名:『アインが見た、碧い空。 あなたの知らないベトナム技能実習生の物語』
- - 著者:近藤秀将
- - 価格:1,800円+税
- - 頁数:368ページ
- - 判型:四六判・並製
- - ISBN :9784991209147
- - 発売日:2022年11月5日
このように、本書『アインが見た、碧い空。』は単なる小説にとどまらず、技能実習制度とその周辺に関わる問題を深く考察した重要な一冊です。興味のある方にとって、読むべき価値がある作品と言えるでしょう。