相澤病院がBuddycomを導入
長野県松本市に位置する相澤病院は、医療現場のデジタル化の一環として、ライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」の導入を決定しました。この施策は、病院が直面する少子高齢化による医療従事者の人手不足や業務の複雑化に対応するためのものです。相澤病院は、急性期医療を担う中核的な存在であり、地域住民に信頼される医療を提供する役割を果たしています。
導入の背景
相澤病院は、過去数年にわたりデジタル化を推進しており、特に2019年からは院内のコミュニケーションデバイスをPHSからiPhoneへと移行する準備を進めてきました。そして、2022年4月にはiPhoneに対応した電子カルテアプリケーションを導入し、これにより病院内でのデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに加速させました。
手術室におけるオペレーションの改善は、病院が取り組んできたDXの一部であり、これまではPHSや固定電話が主な連絡手段とされていました。しかし、これらの手段には通話中の接続困難や物理的移動の必要があり、迅速な情報伝達を妨げる要因が存在していました。特に緊急時には、迅速な連絡が重要であり、これを改善するためにBuddycomの導入が決定されました。
Buddycomの導入による効果
Buddycomは、スマートフォンにアプリをインストールすることで簡単に利用できるIPインカムとして機能します。インターネット環境があれば、どこにいてもコミュニケーションが可能なため、本病院での導入決定に至りました。
1. 業務オペレーションの改善
手術中でもスマートフォンとイヤホンマイクを使用し、ハンズフリー通話が実現しました。これにより、手術室から外部への指示連携が円滑に行われるようになりました。
2. リアルタイムな院内連携
一斉通話やフロアを跨いだ音声・画像共有が可能になり、患者移送および機材手配のスピードと精度が大きく向上しました。
3. スタッフの移動距離削減
連絡がその場で可能になるため、確認作業のための移動が不要になり、スタッフの移動距離を削減しました。
4. 快適な運用環境
耳をふさがない軟骨伝導タイプの「Buddycom Open」を使用することで、周囲の音も聞き取れるため、医療現場の環境にも適しています。これにより、機器への引っかかりリスクも解消されています。
Buddycom導入の検証
相澤病院では、ビーコンシステムを用いて手術センターでの看護師の働き方を可視化し、PHSとスマートフォンの勤務実態を比較しました。その結果、手術室滞在時間が増加し、本来の業務により集中できる状況が示唆されました。さらに、手術センター内での移動回数が大幅に減少したことも確認されました。
今後の展望
今後、医療現場での人手不足と業務の複雑化がさらに進む中、相澤病院はBuddycomとスマートフォンの組み合わせを活用し、リアルタイムの情報共有を強化していきます。この取り組みは、医療現場におけるDXの成功事例として注目されています。サイエンスアーツは、音声データとAIを活用して通話内容をテキスト化し、業務の可視化を進めることで、医療業界全体の課題解決に貢献していくことを目指しています。