上場企業における人事労務制度の実施状況
一般財団法人労務行政研究所が上場企業や非上場企業を対象に実施した、人事労務関連制度についての調査結果が示されました。この研究は、298社からの回答を基に行われ、広く取り入れられている20分野、183の制度や施策の実施率について詳細に分析されています。ここでは、特に重要な10の分野から28の制度や施策を取り上げて、その実施率を紹介します。
調査の概要
調査は2026年1月23日から3月19日まで行われ、全国の証券市場に上場している3764社および非上場企業1703社、合計5467社を対象としました。最終的に298社から回答があり、回答企業の実施状況が集計されています。調査は1981年から始まり、隔年または数年ごとに実施されてきました。
主な制度・施策の実施率
特徴的な実施率としては、「内部通報制度」が93.3%、「定年後の再雇用制度」が90.3%と、いずれも高い導入率を示しています。これらの制度は企業内の透明性や従業員の安定を確保するために重要な役割を果たしています。
注目制度の実施率
以下に、特に注目が集まる5つの制度について、実施状況や背景を詳述します。
1. 内部通報制度
2025年6月に改正された公益通報者保護法により、企業は内部通報に適切に対応する体制を整える必要があります。93.3%という高い導入率は、法改正の影響とも捉えられ、今後の定着が期待されます。
2. 仕事上での旧姓使用
結婚による改姓による不利益を軽減するため、旧姓を使用することを認める企業は84.6%に上ります。この流れは公的書類にも広がりを見せており、社会全体での意識改革の兆しが見られます。
3. 副業・兼業の容認
2018年から始まった「働き方改革」によって、副業を認める企業は急増しました。調査によると、2018年の10.7%から2026年には52.3%へと大幅な増加を見せています。
4. 男性社員の育児休業取得促進
「産後パパ育休」の制定を受けて、男性社員が育児休業を取るための取り組みが進んでおり、49.3%が育児休業を取得する環境が整ったと回答しています。これは2022年の34.6%からの大きな上昇です。
5. エンゲージメントサーベイ
従業員と企業の関係を改善するために実施される「エンゲージメントサーベイ」の導入率は48.3%に達し、2022年の15.4%から非常に大きな増加を示しています。この流れは、労働環境の改善や従業員のモチベーション向上に寄与するでしょう。
まとめ
本調査の結果は、企業における人事労務制度の実施状況を把握し、今後の方向性を考える上で貴重なデータを提供します。これらの制度がどのように進展していくか、今後の動向に注目が必要です。詳細については、労務行政研究所が発行する『労政時報』で確認できます。