がん支えあいの日オンラインセミナー開催レポート
2025年6月16日、株式会社DUMSCOが主催した「がん支えあいの日」に先立つオンラインセミナーが開催されました。本セミナーは、がん患者さんやそのご家族を対象に、がん治療の際に役立つ「体調記録のコツ」と「無理なく続けられる運動法」をテーマにしています。京都大学の東山希実先生と、大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士の石野田神さんが、それぞれの専門知識を元に実践的なアドバイスを行いました。
体調記録の重要性と伝え方
(講師:京都大学大学院医学研究科 東山希実先生)
がん患者の多くが「診察時に自分の体調をうまく伝えられない」という悩みを抱えています。これは、診察時間の制限や、体調の数字化が難しい症状(疲労や吐き気、気分の落ち込みなど)が医療者に過小評価されやすいからです。
東山先生は、体調を医師に正確に伝えるための3つのコツを提案しました:
1.
「一番つらい症状」を最初に書く
患者が抱える一番の苦痛を最初に伝えることで、治療のヒントに繋がります。
2.
「いつ・どこで・どのように・どれくらい」を意識する
症状の程度をCTCAEのような医学的指標に基づいて整理することで、医師は理解しやすくなります。
3.
視覚的に示す工夫を
グラフや写真を用いることで、症状の変化を視覚的に示し、コミュニケーションを円滑にします。
ハカルテの紹介
セミナーでは、当社が開発したアプリ「ハカルテ」がもたらす便利さについても触れられました。このアプリでは、体調を簡単に記録できる機能が豊富に備わっており、患者満足度の向上や異常の早期発見に役立つことが紹介されました。参加者からは「医師の視点が理解できた」という感想が多く寄せられました。
無理なく続ける運動法
(講師:株式会社ルネサンス 石野田神さん)
がん治療中の患者にとって、体力低下や倦怠感は大きな課題です。石野田さんは、「無理なく運動を続けるための具体的な方法」を共有しました。
「疲れる→動けない→さらに疲れやすくなる」この悪循環を断ち切るためには、日常生活に少しずつ運動を取り入れることが重要です。
以下に、実践的な運動のポイントをいくつか挙げます:
買い物や掃除などの日常的な活動も身体を動かす一環として捉えます。
たとえば、30秒の肩の上下運動や座ってできる運動からスタートします。
テレビを見ながら腕を動かしたり、階段を使ったりする工夫が奨励されました。
例えば、家の中を移動することや水分補給のために立ち上がることも効果的です。
一緒に取り組むことで、運動を続けやすくなります。
運動の際の注意点
運動を行う際には、安全面にも配慮が必要です。
- - 主治医に相談し、個別の制限に注意します。
- - 転倒防止のため、安全な環境を整えることが求められます。
- - 体調に応じて運動内容を調整することが重要です。
セミナーでは、実際の簡単な運動も紹介され、参加者は「今日からできること」を体験しました。
講師紹介
東山希実先生
がんサポーティブケア外来を担当し、がん患者さんの生活の質向上に向けた研究を推進する医師です。
石野田神さん
がん専門運動指導士で、運動とフィットネスの領域で20年以上の経験を持つ専門家です。
まとめ
このセミナーは、がん患者やその家族が実際に取り組める体調記録法や運動法を学ぶ貴重な機会となり、参加者からは興味深い意見や感想が多く寄せられました。今後もこのようなイベントを通じて、がん治療における理解を深め、患者がより良い生活を送る手助けができればと考えています。