イラク製油所近代化プロジェクトの新たな展開
日揮ホールディングス株式会社が手掛けるイラクの製油所近代化プロジェクトにより、同社は技術移転業務の追加受注を発表しました。本プロジェクトは、イラクの南部精製公社が運営するバスラ製油所に関するもので、2021年2月から進行しているプランに新たに運転要員の派遣や操業支援を加える形で展開されます。
イラクのエネルギー事情
イラクは世界有数の産油国ですが、1970年代に建設された製油所の老朽化や戦争影響により、その能力は著しく低下しています。特に、現在は国内に稼働する製油所が2つしかなく、急速に増加する人口に対する石油製品の供給が不足。これにより、ガソリン等の重要な製品を外国から輸入する必要に迫られているのが現状です。
プロジェクトの目的と取り組み
バスラ製油所の近代化プロジェクトは、日本の国際協力機構(JICA)による円借款を基にした中東最大の政府開発援助(ODA)案件です。このプロジェクトでは、流動接触分解装置や軽油脱硫装置等を新たに設置することにより、国内の石油製品需要と供給のミスマッチを解消することを目指しています。工事の完了は2025年内を予定していますが、これに向けた現地での技術移転にも力を入れているのです。
技術移転業務の重要性
今回新たに受注した技術移転業務(TTS契約)により、日揮グローバルは南部精製公社に運転要員を派遣し、実効的な操業を支援します。これにより、最新の環境対応プラントのスムーズな稼働を確保し、その成果を効率的かつ安定的な操業に結びつける考えです。
実施に向けた課題
プロジェクト実施においては、新型コロナウイルスの影響や中東の地政学的リスクが懸念される中、現地の特有なリスク要因に対処しつつプロジェクトを進める必要があります。この点で、日揮グローバルの卓越したプロジェクトマネジメント力が評価され、受注に至ったとのことです。
今後の展望
日揮ホールディングスは、バスラ製油所の近代化プロジェクトを円滑に完工させ、技術移転業務を成功に収めることで、イラクの経済的な復興に貢献し続けるでしょう。このプロジェクトの完成によって、イラクの石油供給体制は改善され、国民生活の質向上に寄与することが期待されています。さらに、持続可能な発展を見据えた環境対応型のプラント運営が進むことで、地域社会にも良い影響をもたらすことが見込まれます。
今後も日揮ホールディングスから目が離せません。