トリドールHDとアルサーガパートナーズが手掛けた新たなAIシステム
2025年9月、アルサーガパートナーズ株式会社と株式会社トリドールホールディングスは、全国に展開する「丸亀製麺」の従業員約3万人を対象とした革新的なAI音声システム「ハピネススコアインタビュー」を共同開発しました。このシステムは、従業員の心の幸福度を5分で可視化することを目的としています。
新たなアプローチ
この「ハピネススコアインタビュー」は、丸亀うどーなつのキャラクター「るんもっち」による音声対話と最新の生成AI技術を駆使し、従業員の感情を深く掘り下げ、スコアとして数値化します。従来の主観的な調査ではなく、客観的な行動データに基づいた革新的なアプローチにより、トリドールHDが目指す「心的資本経営」をデータドリブンで推進することを可能にしました。
開発の背景
外食産業では2030年に向けての労働力減少が懸念される中、従業員の定着率向上が経営の重要な課題となっています。トリドールHDでは、従業員と顧客の「心」に着目した「心的資本経営」を進めており、これが離職率の低下や顧客からの肯定的なフィードバックの増加に寄与しています。特に、昨年に比べ従業員の離職率は約12.9%減少し、顧客からの賞賛も約24.5%増加しました。
システムの特長
「ハピネススコアインタビュー」には以下の4つの特長があります。
1.
親しみやすいキャラクターによるAI音声対話
「るんもっち」を導入することで、従業員がリラックスして対話できる環境が整いました。16問の質問に5分で回答できるため、従業員にとっても負担が少ないです。
2.
生成AIによる精密な分析
GPT-4レベルの生成AIを活用し、日本独特の表現を理解し、隠れた感情を数値化します。主観に頼らず客観的データから分析を行うことで、高い信頼性を確保しています。
3.
企業独自の評価基準構築
トリドールHDの価値観に基づく「安心感」「つながり感」「貢献実感」「誇り」の4つの指標を設定し、企業文化に沿った分析が実現します。
4.
多言語対応
日本語、英語、ベトナム語、ミャンマー語など8か国語に対応し、グローバルな人材の意見を正確に把握できる仕組みを作りました。これにより、外国人スタッフの定着率も向上しています。
開発プロセスと企業の展望
このシステムは、3回にわたるPoC(概念実証)を通じて600人以上の従業員からのフィードバックを基に共同開発されました。今回のシステムの導入により、トリドールHDでは従業員の幸福度最大化を目指し、内発的動機を高める施策を進めています。
経営陣のコメント
トリドールHDの執行役員、南雲克明氏は、「従業員の幸福度を可視化することは我が社の思想に欠かせない」と語り、システムが従業員との対話を通じて真の課題を引き出す重要な役割を果たしていると述べました。
今後の展望
今後、トリドールHDは他のブランドへの導入も視野に入れながら、「心的資本経営」を推進することで、さらなる感動を創造していく計画です。アルサーガパートナーズも、AIの力を活用して働く人たちの幸福度と生産性向上に貢献し続けるとしています。
トリドールHDは「食の感動で、この星を満たせ。」というスローガンのもと、社員の心の幸せとともに、顧客の感動体験を追い求めています。これからの進展が楽しみです。