未来型農業への一歩
宮崎県のスタートアップ企業であるAGRIST株式会社が、株式会社共立電照と協力して、次世代のいちご栽培システムの実証実験を開始します。この取り組みは、持続可能な農業の実現を目指し、AIとLEDなど先端技術を駆使した革新的なものです。
課題解決に向けて
日本の農業界は、深刻な人手不足や高齢化、気候変動など複合的な課題に直面しています。特にいちごの栽培には、高度な技術と多くの人手が必要です。AGRISTは、これらの課題に立ち向かうために、AIを活用した自動収穫ロボットを開発し、農家の負担を軽減することに力を入れています。
共立電照は、環境に優しいLED照明システムの開発に力を注いでおり、その技術を利用することで、植物工場での生産を省エネルギーで実現することが可能です。この二社の連携により、AIと最先端の設備を融合させた新しい農業モデルが構築されることを期待されています。
実証実験の内容
この実証実験では、まず宮崎県内の協力農家にAGRISTのIoTセンサーを設置し、温度や湿度、CO2濃度、日射量など様々な環境データをリアルタイムで収集します。これにより、いちごの最適な栽培条件を見出すことが目的です。また、植物工場では、共立電照のLED照明技術を活用しながら、AGRISTのAIロボットによるいちご栽培が行われます。これによって、天候に左右されない安定したいちご生産が見込まれます。
プレミアムブランド「Miyazaki ICHIGO “M”」の誕生
この実証結果を通じて、高品質ないちごが生産され、その中から「Miyazaki ICHIGO “M”」というプレミアムブランドを開発します。1粒1000円のいちごとして、ふるさと納税の返礼品や高級ホテル、百貨店などでの販売を目指します。このブランドの立ち上げは、農業の新たなビジネスモデルを築くだけでなく、地域経済の活性化にもつながるでしょう。
地域活性化と観光の融合
さらに、露地栽培においては高床式栽培(高設栽培)を導入し、作業の負担を軽減しつつ収穫効率を向上させることを計画しています。将来的には、観光客がいちご狩りを楽しめる農園としても展開し、地域の活性化に寄与できると期待されています。これにより、農業だけでなく観光産業にも新たな風を吹き込むことができるでしょう。
未来への展望
今後3年間にわたり、段階的に技術の確立と事業性の検証を進めます。1年目には露地栽培のデータ収集やプレミアムいちごの市場テストを行い、2年目にはLED技術の本格的な運用を開始します。そして3年目には他地域への展開や国際市場への参入を視野に入れていきます。
AGRI ST代表の秦裕貴氏は「この取り組みが日本の農業の未来だけでなく、世界の食料供給に貢献することを期待している」と述べています。一方、共立電照の米良充朝社長も「持続可能な農業モデルの構築を通じて、地域経済に明るい未来をもたらしたい」と意欲を見せています。
これからの進化し続ける次世代いちご栽培に、私たちも期待が高まります。持続可能で新しい農業の形が、宮崎県から全国、そして世界へと広がっていくことを願っています。