鹿児島県出水市において、教育実証事業の一環として3D技術に関する授業が行われ、その成果が発表されることとなります。出水商業高等学校の生徒たちは、一般社団法人日本3D教育協会の支援を受けながら、3Dプリンティングの基礎や応用を学びました。
この授業は九州では初めてとなる、正課としての3D技術教育で、出水市のイメージキャラクターである「つるみんじゃー」を題材にしたモデリングを行うことが主な内容です。具体的には、3年生の生徒たちがモデリングを試み、実際に3Dプリンターで出力するプロセスを通じて、技術の取得を目指しました。
授業の中で指導を行ったのは、一般社団法人日本3D教育協会の代表理事である吉本大輝氏です。彼は、生徒たちがモデリングやプリンティングの過程で直面した問題を解決するための技術的なアドバイスを提供しました。結果として、生徒たちからは「予想以上に簡単にできることが分かった」という声も上がるほど、手軽さを実感できた様子です。
成果発表会は2025年2月21日に出水市役所で開催される予定です。この場では、生徒たちが自ら制作した「つるみんじゃー」を披露し、製作過程や工夫した点、場合によっては失敗談などを共有します。また、最新の3D技術についての紹介や講評があり、参加者にとって学ぶ機会となることでしょう。
エキマテ社のCEOである野田裕介氏は、「高校生が具体的なアイデアを持ち、実際に手を動かして形にする能力を身に付けることが、彼らのキャリア形成に貢献できると信じています」と語っています。
3D技術は医療や製造業など多様な分野で応用が進んでおり、今後の人材育成が急務とされています。出水市は「ITで日いずるまちに」をテーマに、情報通信関連の産業育成に力を入れており、中でも今回の3D技術教育はその一環として位置付けられています。
出水商業高等学校は、1948年に設立されて以来、1万人以上の卒業生を輩出してきました。彼らは今、全国各地でその技術力を活かして活躍しています。「夢をかたちに」というスローガンのもと、地域社会に貢献する学校を目指し、今回の取り組みもその重要なステップといえるでしょう。
授業には、Apple Tree社が3Dスキャナーを提供し、また日本エイサー社が裸眼3D立体視液晶モニターを、そして株式会社サンステラが3Dプリンターを供給するなど、多くの先進企業の協力がありました。これにより、生徒たちは専門的な設備のもとで学び、実際に手に取る機会を得たのです。
さらに、授業で使用したペンタブレットは株式会社ワコムから寄贈され、3DモデリングソフトウェアについてはMaxon Computer社からの協力を受けています。そして、3Dデータの管理を行うために、一社団法人3Dデータを活用する会が協力するなど、教育現場での連携が強化されています。
このように産業界と教育機関の協力によって、出水市はIT分野と3D技術を駆使した新たな人材育成のモデルケースを確立していこうとしています。今後の発展に期待が寄せられています。