Gaittaが世界的デザインアワードで輝かしい受賞
日本の製靴家、野島孝介が手掛けた「Gaitta(よなぬき)」が、2025年のロンドンデザインアワードにおいて銀賞、そしてアメリカの国際デザインアワード(International Design Awards 2025)で銅賞を受賞しました。この作品は、日本の履物文化を元にしながら、現代的な感覚を持つ履物として再設計されています。
受賞した背景と評価
Gaittaは、プロダクトデザイン、建築、ファッションなど、多様な分野に焦点を当てた国際的なデザインアワードの中で高く評価されました。審査員は、デザイン性や独創性、明確なコンセプトといった観点から作品を吟味し、その中でGaittaは特に履物における新しい価値を提案している点が注目されています。これらの賞は、世界中から選りすぐりの作品が集まり、非常に厳しい選考を経て決定されています。
Gaittaのデザインコンセプト
「Gaitta」という名前は、英語の「gait(歩き方)」と日本の伝統的な履物「geta」を掛け合わせた造語です。その名前の通り、歩行のリズムや安定感を表現することを意図しています。また、Gaittaの日本語名「よなぬき」は、日本の伝統音楽に由来し、音楽のリズムを歩行の動きに重ねた概念を表しています。
この作品は、足袋の構造と西洋の革靴文化を融合した底面構造とアッパーを持ち、京都の伝統工芸士と共同で製作された桐材に基づく一本歯下駄と二本歯下駄のソールで構成されています。特に底面の曲線は、足裏の形状や接地の流れに基づいてデザインされており、歩行における快適性を追求しています。
一本歯下駄仕様は、接地面が一点であるため、坂道や不整地での重心移動がしやすく、日本の地形に適した履物としての特徴を備えています。これに対し、二本歯下駄仕様は、安定性を重視しつつ、伝統的な美しさを最大限表現しています。
技術と素材へのこだわり
Gaittaのつま先部は、足袋の美意識を尊重し、縫い目のない構造を採用することで、見た目の美しさと耐久性を両立させています。留め具には「こはぜ」を採用し、着脱のしやすさとサイズ調整が可能でありながら、十分な強度を保つ設計になっています。また、色使いに関しては、黒と白という二つのフォーマルカラーを対比させることで、西洋と日本の文化的視覚を一つの作品に融合させました。
さらに、裏革には鹿革を使用し、材料の選択において現代の社会問題や歴史的背景に配慮しています。日本の文化や自身のルーツを深く考えながら、制作を続けているからこそ実現できた作品です。
野島孝介の今後
野島孝介は過去にも数々のデザイン賞を受賞しており、浅く広がった履物の技術の中で新しい表現を模索し続けています。靴制作を通して、彼は日本の伝統と現代をつなぐ新しい価値を提案する存在として、今後の活動にも期待が高まります。
【製靴家・野島孝介について】
主な受賞歴に関しては、京都デザイン賞をはじめ、数々の国内外のメディアでも紹介されています。映画やドラマへの靴制作の実績もあり、幅広い活動を展開中です。
興味のある方は、ぜひ彼の作品を見に行くことをおすすめします。