みずほFGで新たなAI開発のスタート
最近、株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)がWeights & Biases(以下、W&B)を社内AI開発に導入したというニュースが話題となっています。この導入は、同社が金融業界における生成AIの活用を推進する一環として位置づけられており、社内業務の効率化や新しい顧客価値の創出が期待されています。
W&Bの特徴と導入の目的
みずほFGは、AI技術を駆使して社内の業務改革を進め、市場競争力を高めるため、W&Bの実験管理プラットフォーム「W&B Models」を採用しました。このシステムは、コード変更が最小限で済むため、実験の記録やモデル性能評価、GPUリソースの可視化が容易になります。これにより、開発部門はより高品質なモデルを短期間で構築し、迅速に業務に活用することができるようになります。
特に注目されるのは、セキュリティ対策と導入の容易さです。W&Bはシングルテナント構築によって安全な環境を提供し、データセキュリティを確保しました。また、学習コードにわずか1行を追加するだけでログ出力が可能になる点が、他の主要ライブラリとの統合を簡易化しています。これにより、チームはリアルタイムで学習メトリクスを可視化し、実験や次のステップの計画を効率的に行えるようになります。
Proof-of-Valueプロジェクトの成果
今回の導入は、みずほFG、日鉄ソリューションズ株式会社(以下、NSSOL)、W&B Japanの3社の協業によるもので、2ヶ月にわたるProof-of-Value(製品提供価値の検証)プロジェクトが実施されました。このプロジェクトから、数多くの成功事例が報告され、特にセキュリティや導入の簡便さ、学習試行の効率化が高く評価されました。この成果が導入決定につながり、10月1日からは国内の金融機関として初めてW&B製品の活用が開始されます。
関係者のコメント
みずほFGの執行役員でデジタル戦略部の藤井達人氏は、「生成AIを活用した社内ドキュメントの検索やAIエージェントの開発を進める中、W&B Modelsの機能性が大いに役立っている」とコメントしています。今後ますます進化する金融向けAIエージェントの開発には、同社のソリューションが欠かせないと考えています。
NSSOLの関係者は、長年にわたる金融機関へのソリューション提供の経験を基に、効率的な「みずほLLM」の構築を支援すると述べています。また、W&Bのエグゼクティブ・バイスプレジデントSeann Gardiner氏は、「W&B Modelsは、生成AIアプリケーションの開発において必須のツールであり、開発の短縮と質の向上に寄与する」と語っています。
Weights & Biases Japanの役割
Weights & Biases Japan株式会社は、エンタープライズグレードのML実験管理およびMLOpsワークフローを提供しており、国内外で100万人以上の機械学習開発者に支持されています。今回の取り組みにより、AI技術の新たなベストプラクティスが金融業界にもたらされることが期待されます。
このプロジェクトが示すように、AIの発展が金融業界にもたらす影響は計り知れません。みずほFGは、今後もこの技術を駆使して、顧客に対する価値提案をさらに深化させていくことでしょう。