九州電工が新たな蓄電池事業を展開
株式会社九電工(福岡県福岡市中央区)が関東にて、系統用の蓄電池事業を開始しました。これは、再生可能エネルギー(再エネ)の有効活用に大きく寄与するものです。本プロジェクトでは、しろくま電力株式会社との共同で、群馬県と栃木県において開発される蓄電池システムが運転を開始しました。2025年9月1日より、蓄電池システムが正式に稼働を開始し、これによりエネルギーの需給バランスの安定化が期待されています。
再エネと蓄電池の役割
再生可能エネルギーは、近年急速に普及している一方で、その余剰電力が出力抑制により無駄に放出されることが問題視されています。つまり、利用可能なエネルギーが効果的に使われておらず、環境への配慮が欠かせない状況があります。系統用の蓄電池は、電力供給が過剰な際に貯め込み、需要が高まる際に放出することで、電力業界の安定化を図る重要な役割を担っています。
この蓄電池ビジネスは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた施策の一環として評価されており、経済産業省を中心に政府がインフラ整備を推進しています。九電工もその流れを受けて、蓄電池ビジネスを開始しました。
新たなプロジェクトの内容
今回のプロジェクトで運転を開始したのは、以下の三つの蓄電システムです。
所在地:群馬県太田市亀岡町
出力:2MW
蓄電池システム:CATL
所在地:群馬県太田市新田赤堀町
出力:2MW
蓄電池システム:CATL
所在地:栃木県足利市堀込町字中島
出力:2MW
蓄電池システム:CATL
これらのプロジェクトは、東京都の「令和5年度系統用大規模蓄電池導入促進事業」に採択され進められています。
企業の展望
九電工にとって系統用蓄電池の活用は、再エネ事業の拡大や電力システムの安定性を高める鍵となります。本プロジェクトから得られる知見は、将来のビジネス展開にもつながるものと考えています。
一方、しろくま電力株式会社は2022年からの事業参入以降、現在約5.3GWhの系統用蓄電所の開発を進めており、2023年12月には更なる案件も運転を開始予定です。
しろくま電力は、揚水発電所や電力小売り事業から得た豊富な経験を活かし、新たな蓄電池事業へ着手しています。そのスピードと技術力を基盤に、PBS(プラント・ビルディング・システム)を通じて、再エネの調整力を高める役割を果たすべく努力しています。
持続可能な未来に向けて
系統用蓄電池事業は、今後の持続可能なエネルギー社会を築く上でますます重要性を増していくことでしょう。再生可能エネルギーの利用促進と電力の安定供給の両立を目指し、九電工およびしろくま電力が手を取り合い新たな道を切り開いていくことで、地域のエネルギーの未来がより明るいものになることが期待されています。