年金分割制度の影響
2025-03-25 09:48:17

年金分割制度がもたらす離婚率の上昇と女性の支出変化

年金分割制度がもたらす影響



関西外国語大学の准教授、南村圭哉氏による最近の研究が、年金分割制度と離婚率、さらに離婚後の女性の消費行動に関する新しい知見を提供しています。この論文は、2023年3月30日に発行された研究論集第121号に掲載され、年金分割制度が社会経済に与える影響を掘り下げています。

年金分割制度とは



年金分割制度は、離婚後の女性が公平に年金を分配されることを目的とした制度です。2007年には「合意分割」、2008年には「3号分割」が施行され、特に専業主婦の女性たちが経済的に不利な立場に置かれないよう配慮されています。この制度により、当事者は年金の分割割合を50%まで決定できるようになりました。

研究の背景と方法



南村准教授は、男女性が主に働く家庭の離婚を対象に、年金分割制度がどのように家庭の経済活動や離婚の意思決定に影響を与えるのかをシミュレーション分析によって調査しました。この仮説に基づいて、離婚率や貯蓄率、離婚後の男女の消費行動に与えられる影響を詳しく分析し、そのモデルを用いて結果を導き出しています。

重要な発見



離婚率の上昇:年金分割制度の導入に伴い、離婚率が上昇したことが明らかにされました。

女性の消費量の増加:離婚後、女性の消費量が増加する傾向にあることが示されています。

男性の消費量の低下:逆に、離婚した男性の消費量は減少する傾向にあるとのことです。

これらの結果は、年金分割制度が男女間の経済格差を縮小し、特に女性にとって離婚が容易になる影響を示しています。従来、専業主婦の女性は、経済的な理由から離婚を躊躇することが多かったのですが、制度の導入によりその障壁が低くなったと言えるでしょう。

統計データと実際の離婚件数



2022年度には、全国で約18万件の離婚が記録されましたが、年金分割制度を利用したケースはわずか1万件余りで、全体の6分の1程度に留まるという驚きのデータも存在します。これは、制度の利用がまだ浸透していない現状を反映しています。

結論



以上の研究結果を踏まえると、年金分割制度は離婚率や離婚後の消費行動に明確な影響を与えていることが確認できます。今後、制度のさらなる普及と、それに伴う社会的認識の変化が期待されます。この制度が持つ可能性を理解することで、より良い家庭環境を築く手助けになることでしょう。


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