中小企業のESG経営実態調査結果
最近の調査で、ESG経営(環境、社会、企業統治)を実践する企業が増えている一方で、期待される効果とは裏腹に多くの企業がその効果を十分に感じていないことが明らかになりました。これは、フォーバル GDXリサーチ研究所が全国の中小企業経営者1,077人に対して行った実態調査によるものです。
調査の概要
調査は2024年9月9日から10月11日にかけて実施されました。回答者は全国の中小企業経営者で、ウェブを使ったアンケート形式が採用されました。この調査によって、企業がESG経営に対してどのように取り組み、実績を上げているのかを把握することが目的です。
調査結果の概要
調査結果によれば、ESG経営に取り組んでいる企業の約70%が、ビジネスチャンスの創出などのプラスの影響を「感じている」と回答しました。しかし、実際に営業活動にその影響を活用できている企業はしっかりとした結果がついてきていないことが露呈しました。
プラスの影響を感じている企業
多くの企業がESG経営の取り組みによってプラスの影響があると感じていますが、その一方で、約30%の企業が影響をほとんど感じていないことも示されました。特に、業績や採用活動においては変化が少なかったと答えた企業が目立ちました。採用活動においては「特に変化がなかった」が70.9%という結果も、期待とは裏腹の現実を映し出しています。
営業活動への活用
さらに注目すべきは、ESG経営の効果が営業活動に活かされていないという点です。7割以上の企業が営業活動においてESG経営を活用できていないと回答し、その理由として認知度の低さや情報発信不足が挙げられます。下手に取り組んでいても、発信しなければ周囲に知られることはありません。
企業と取引先への影響
興味深い結果として多くの企業がESG経営に取り組む企業との取引を希望していると答えたことも指摘されています。約70%の経営者がESG経営を重視する企業に魅力を感じており、ESGの取り組みが取引先選定に影響を及ぼしていることがうかがえます。
消費者の選択基準
また、調査によれば、価格と環境配慮商品を比較した場合、71.5%の企業は「同等の金額であればESGに配慮した商材を選ぶ」ことを示しました。これはESG経営が商材選びにおいて重要な指標となっていることを意味します。
まとめと未来への展望
ESG経営が企業にとってプラスの影響をもたらすことは明らかですが、その効果を実際の営業や業績に結びつけるためには、企業の情報発信や営業活動の工夫が不可欠です。時代は変わりつつありますが、ESG経営をただの理念としてではなく、実際のビジネスチャンスとして捉えることが求められます。
底堅い成長を遂げるためには、企業自身がESGの取り組みを活用するほか、その価値を外部に伝えることで新たなチャンスを掴むことが可能と思われます。