第56回新潮新人賞が決定!
令和の文学界に新たな風を吹き込む、第56回新潮新人賞の受賞者が発表されました。歌人であり詩人でもある竹中優子さんと、現役の東京大学院生である仁科斂さんが、見事に受賞の栄冠を手にしました。
新潮新人賞の意義
新潮新人賞は、純文学の登竜門として広く知られ、多くの作家がこの受賞を契機にキャリアを築いてきました。今年の応募作品数は2855作に達し、その中から選ばれた二作品に期待が寄せられています。受賞作の全文や受賞記念インタビュー、選考委員の選評は、2024年10月7日(月)発売の「新潮」11月号に掲載される予定です。
受賞作品の詳細
竹中優子『ダンス』
この作品は、20代の会社員「私」と、社内恋愛に失敗した30代の先輩下村さんという、2人の女性の人生の瞬間を捉えた新時代の会社員小説です。主人公たちは、社会や周囲に馴染めずに悩みつつも、共に時間を共有します。竹中さんは歌人でもあり、そのユーモアセンスと普遍的なテーマが作品のなかで生き生きと描き出されています。選評を寄せた又吉直樹さんは、キャラクターが発する台詞のユーモラスさと、省略の巧みさに言及し、この作品には舞台としての柔軟性があると評価しています。
仁科斂『さびしさは一個の廃墟』
仁科さんの作品は、奄美大島で観光ガイドとして働く大学院生レンの視点から描かれています。彼の移住の背景には、指導教員との複雑な関係があり、奄美の方言や島唄といった地域要素が独特の味わいを生んでいます。金原ひとみさんは、強烈な異世界感や、独自の言葉遣いが生み出す作品の深みについて絶賛し、読者を引き込む力を感じさせると述べています。
受賞者のプロフィール
竹中優子
竹中優子さんは1982年に生まれ、早稲田大学第一文学部を卒業。2016年には「輪をつくる」で第62回角川短歌賞を受賞し、2022年には第23回現代短歌新人賞を獲得。詩集『冬が終わるとき』でも第28回中原中也賞にノミネートされました。
仁科斂
仁科斂さんは1994年生まれで、オックスフォード大学のPPEコースを卒業後、現在は東京大学大学院総合文化研究科に在籍しています。多様な背景を持つ彼の作品は、文学的な価値が高く評価されています。
発売情報
この受賞情報は、2024年10月7日(月)発売の「新潮」11月号で掲載されます。特別定価は1,200円(税込)。新しい文学の潮流を感じるために、ぜひご一読を。
新潮社公式サイト