福岡伸一とその新作『生命と時間のあいだ』
生物学者・福岡伸一が7月30日に新刊『生命と時間のあいだ』を発表します。この本は、彼自身が大阪の万博会場で得た思索をもとにしたもので、近代科学が見えなくしてしまった「時間のパラドクス」を解明する試みです。その特徴的な視点は、時間や命について、我々がいかに固定観念に捉われているかを問いかけます。
有名な作品とその影響
本書では、ダ・ヴィンチやダーウィン、ガリレオ・ガリレイなど、歴史に名を残す多くの人物の作品が引用されています。これらの作品を通じて、福岡は時間の流れをどのように捉え直すのかに迫ります。特に、坂本龍一や手塚治虫、村上春樹、安部公房、丸谷才一といった現代の作家やアーティストの視点を交え、彼らが描く時間の概念を新たな解釈で読み解いています。
著者は本書の中で、「我々は時間を極小の点として捉える考え方で世界を見ることに慣れ過ぎている」と述べており、これは現代社会に生きる私たちが抱える根源的な問題でもあります。また、各章の導入部分では、著者の言葉を交えながら、読者に対する問いかけがなされており、思考を促す内容となっています。
落合陽一のカバー作品
本書のカバーには、万博でご活躍の落合陽一が手掛けた作品『アリスの時間』が使用されています。この作品は、実在しない奇妙な時間の表現を試みており、福岡の視点ともシンクロする非常に興味深いアートです。落合の作品も含め、視覚的なイメージが本書のメッセージとどのように結びつくのかは、読者にとっても注目のポイントでしょう。
著者の背景
福岡伸一は、京都大学を卒業後、ハーバード大学医学部にてフェローとして学んだ実力者。その後、青山学院大学教授として多種多様な著作を発表し、特に生命のメカニズムや哲学的な観点をわかりやすく伝える試みで高い評価を得ています。代表作には『生物と無生物のあいだ』や『動的平衡』シリーズがあります。
読者へのメッセージ
福岡は、この本を通じて、「動的平衡」が生む新たな物語を見出す喜びを読者に伝えたいと述べています。彼は大阪の万博会場での経験を通じて、多くのインスピレーションを受けて本作を執筆したとのことです。「ページをめくってみていただければ嬉しいです」と語る福岡の言葉には、彼自身の情熱と期待が込められています。
書籍の詳細
- - 書名: 生命と時間のあいだ
- - 著者: 福岡伸一
- - 発売日: 7月30日
- - 定価: 1815円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-332213-9
- - リンク: 新潮社
この新刊は、時間や生命についての考え方を根本から問い直す貴重な一冊です。ぜひ手に取って、新たな視点を見つけてみてください。