進化するエンジニアリング:ストックラボの挑戦
エンジニア工数削減プログラムの背景
東京都新宿区に本社を置くリユース企業、株式会社ストックラボは、時間とコストの両方を削減するために、AI技術を活用したエンジニア工数削減プログラムを本格的に導入しました。このプログラムは、Claudeという大規模言語モデル(LLM)を基に、さまざまな工程の自動化と効率化を図ることを目的としています。
従来のプロダクト運用においては、開発から運用に至るまで、各工程において多くの定型的な作業が行われていました。具体的には、要件の定義からチケット分解、実装、検証、リリース、さらには監視と変更履歴の記録に至るまで、作業の負担が大きく、特にドキュメントの整備やログの一次整理に多くの時間がかかっていました。
課題の明確化
その結果、手戻りやドキュメント負債が蓄積し、なぜそのように実装されたのかという説明が人に依存する問題が明らかになりました。これらの問題を軽減するために、LLMの得意とする分野である要約、分解、整形、そして雛形の生成に着目し、実験を開始しました。
たとえば、要件をチケットに分解する際は、プロダクト要件文書や課題メモからユーザーストーリーや受入基準、依存関係を抽出し、エピックとチケットへ分けるための下書きを自動生成するとのことです。また、コードレビューの際には、変更の差分をもとにレビュー観点を提示し、見落としを防ぐ補助を行います。さらに、運用に必要なRunbookや変更履歴まで標準化し、自動起票することでドキュメントの整備も効率化します。
AIの活用方法と人間の役割
しかし、ここで重要なのは、LLMの提供する情報をそのまま利用せず、人間が最終的な承認を行う「Human-in-the-Loop」を前提にしている点です。これにより、スピードと正確さの両立を実現。「どのプロンプトを使い、誰がどのように編集したのか」という記録もきちんと残します。
また、適用領域と適用しない領域を明確にし、最終的な仕様決定やセキュリティに関わる判断、人間が行わなければならない作業に対しては人間を中心に据えるアプローチを取っています。このことにより、開発と運営における品質を高めつつ、効率を上げることが可能となります。
セキュリティとガバナンスの強化
プログラム導入にあたっては、セキュリティとガバナンスの設計も最初から盛り込まれました。LLMには非機密データのみを渡し、個人情報や秘匿キーは一切送信しません。このような取り組みは、さまざまな監査可能性を高め、誰が何を行ったかを追跡可能するシステムを構築しています。
KPIによる測定と方向性の明確化
導入後は、Lead Time to Change(LTTC)やコードレビュー滞留時間、検証SQLの作成工数、初動から対処までの平均時間(MTTR)などのKPIを四半期ごとに集計し、効果を測定しています。このプロセスを通じて、単にAIを導入するのではなく、数値的成果を公開しつつ継続的な改善を目指します。
ストックラボの未来
この取り組みは“人の判断を置き換える”ためではなく、あくまでも補助的な役割を果たし、開発者が効率よく作業を進められる環境を整えるものです。ストックラボ代表の尾太駿氏も「面倒な前処理を機械化して時間を取り戻し、出処と承認経路を記録して説明可能性を上げる」ことを強調しました。
有限なリソースを最大限に活用し、開発生産性と運用品質の両立を目指して、ストックラボは今後もさらなる進化を続けるでしょう。
会社概要
- - 会社名: 株式会社ストックラボ
- - 設立日: 2014年4月25日
- - 所在地: 東京都新宿区新宿2-12-16 セントフォービル203
- - 事業内容: リユース事業(革靴やお酒の販売・買取等)
- - 古物商許可証: 第304371408068号
ストックラボは、インターネットと実店舗を駆使しながら、新たな価値の発見に挑戦しています。お酒やブランド品の買取に力を入れ、必要な一品を必要な人に届けることを理念としています。