プレゼンテーション授業が学習者の意欲向上に与える影響
一般社団法人アルバ・エデュ(東京都文京区、代表理事:竹内明日香)と山梨大学大学院総合研究部の小野田亮介准教授は、社会に関わることを重視したプレゼンテーション授業が学習者のモチベーションにどのような影響を与えるかを検証しました。この研究結果は、2024年10月20日に日本教育工学会論文誌に発表されます。
研究の背景
現代社会では、プレゼンテーション能力は学術やビジネスにおいて不可欠なスキルとされています。子どもたち自身も、その重要性を認識しています。しかし、大規模な調査によると、学校を進むにつれて「自分はプレゼンテーションが得意」と思う子どもたちの割合は50%を下回るという結果が出ています。これらの結果は、プレゼンテーション能力が高度に評価されているにもかかわらず、学習者が実際にそのスキルを自信を持って表現できない現状を示しています。
そのため、アルバ・エデュでは、社会に主体的に関わることの重要性を教える授業を行い、プレゼンテーションの指導を通じて学習者の動機づけを高めることを目指しました。
実施概要
実践1:プレゼンテーションの価値伝達
対象は小学5・6年生と中学1年生計184名で行われました。授業では、まず「社会に関与することの重要性」を伝え、次に「プレゼンテーションの3つのポイント:考える、伝える、見せる」を指導しました。
学習者はグループ演習を通じて、これらのコツを元に自分の興味のあるテーマで自由にプレゼンテーションを行いました。この実施後の調査によると、学習者たちの「社会への関与態度」や「プレゼンテーションに対する期待と価値感」が向上したことが確認されました。
実践2:質の高いプレゼンテーションの実例
次に行われたのは中学1年生を対象にした99名の授業で、実践1に発展した内容でした。論理的に構成し、ストーリーテリングを用いることで、プレゼンテーションの説得力を高める方法を体験させました。これにより、ICTを使った質の高いプレゼンテーションの構想を促進し、強いメッセージを伝えるための技術を指導しました。
その結果、授業を通じて社会への関与態度が高まった学習者は、自身のプレゼンテーション能力への期待も高まる傾向が見受けられました。このことから、プレゼンテーションの指導が学習者の動機づけを維持・促進することに寄与していることが示唆されました。
研究の示唆
本研究の結果は、社会への関与やプレゼンテーションといった価値が「当たり前」とされる中、その意義をしっかりと伝えることが重要だと指摘しています。このような態度を形成することで、学習者は「自由な話し方」から「説得力ある話法」へと質の高いスキルへ移行することが可能になるというのです。また、このアプローチは、他の教科にも幅広く応用可能であり、今後の教育方針において特に重要な研究となるでしょう。
アルバ・エデュの取り組み
アルバ・エデュでは、63,000人以上の教師や子どもたちに向けて「話す力」を身につける教育プログラムを実施しています。子どもたちが安心して意見を発信できる場を提供し、失敗を恐れない自己表現を促進しています。
さらに、生成AIを活用した「対話型アプリ」を開発し、公教育の現場での実証事業にも採択されています。これにより、児童がより意欲的にプレゼンテーション能力を伸ばすことが期待されています。