2025年下期SEEP調査報告:変化する市場に進化する体験価値
株式会社iDAが提供するカスタマーサティスファクション(CS)調査「SEEP」は、2025年9月に実施した全国調査によって国内ファッションブランドの顧客満足度の動向を探る重要なレポートを発表しました。その名も「変化する市場に、進化する体験価値」。
調査の概要と対象
今回の調査は、ラグジュアリーからアフォーダブルラグジュアリー、セレクトショップ、トレンドカジュアル、スポーツといった多様な業種を対象に行われました。主要都市として東京、大阪、名古屋、札幌、福岡を選定し、顧客の購買行動や接客満足度を定量的に測定しました。
調査方法は、SEEP CS調査を通じて実施され、前回調査からの約半年間の市況変化を反映しています。
市場の変化と消費行動
2025年下期のファッション市場は、円安や物価上昇によって消費者の購買行動が慎重になっていることが特徴です。このため、価格競争が激化し、高価格帯商品の販売は伸び悩んでいます。また、インバウンド需要もピーク時と比べて減少し、国内消費依存が強まっています。これは百貨店の免税売上に影響を与え、2024年5~7月比で約100億円、8~9月比で50~70億円の縮小が見られます。ただし、最近では回復の兆しも見えてきています。
こうした状況の中で、ブランドは単なる「価格」競争を超え、「品質」や「体験価値」を訴求することが求められています。顧客満足度を高めるためには、接客やサービスの質を向上させ、より総合的な価値を提供する必要があります。
カテゴリー別の傾向分析
1.
ラグジュアリー
回復傾向は鮮明で、インバウンド消費が減少したことで接客時間が増加し、ヒアリングから提案のプロセスが大幅に改善されました。ブランド間のスコア差も縮小しています。
2.
アフォーダブルラグジュアリー
緩やかな復調が見られ、リピーターを生む動きが活発化しています。
3.
セレクトショップ
メンズセレクト部門は提案力で高評価を得ている一方、レディース部門は消極的な姿勢が課題です。
4.
トレンドカジュアル
人員不足が顕著で、接客準備や基本の動作に課題が残ります。
5.
スポーツブランド
SEEP全国調査開始以来の最高得点を記録し、接客の質やチームワークの改善が寄与しています。
6.
ジュエリー
パーソナルな対応が印象を高め、ブランド間の競争が拮抗しています。
7.
フレグランス
初期対応の質が満足度に大きく影響し、基本的なアプローチの不足が課題となっています。
今後の展望と提言
2025年下期の調査結果を総括すると、顧客満足度スコアは前期比・前年同期比ともに改善し、2年前の水準に回復しました。インバウンド需要の減少が国内顧客への接客機会を増やし、アプローチやウェルカム対応の質向上に繋がったと考えられます。しかし、人員不足が接客機会を減らし、スタッフの疲れがいくつかのカテゴリーで顕著です。これには基本動作やクロージング対応の低下が含まれ、改善の余地があります。
今後は限られたリソースの中で質を維持するために、効率的なオペレーションの見直しや接客スキルの強化が必要です。また、ブランド体験を向上させるためには、スタッフへの研修やナレッジの充実が求められるでしょう。
詳しいスコアや分析については、レポート本編をダウンロードして確認してみてください。
本レポートのダウンロード
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SEEPに関するお問い合わせ
株式会社iDA BP事業戦略本部 SEEPチーム
店舗運営コンサルタント 田村実香
メール:
[email protected]
URL:
https://seep.jp/
iDAについて
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