バレンズセミコンダクターがD3 Embeddedと提携
バレンズセミコンダクターは、エンベデッド・ビジョンシステム向けに新たなMIPI A-PHYプラットフォームを発表しました。このプラットフォームは、D3 Embedded社の技術を基盤にしており、カメラからプロセッサまでを一括で網羅する接続ソリューションです。その特徴は、業界初のエンベデッド・ビジョン向けに特化した製品であり、A-PHY接続規格を用いた高性能なシステムを実装できる点です。
先進的な接続ソリューションの提供
D3 Embeddedの顧客は、このプラットフォームを使用することで、独自のメリットを享受できます。例えば、外部電磁干渉(EMI)に対する優れた耐性、長距離でのデータ伝送が可能な点、そしてシンプルかつ低コストな配線の実現などが挙げられます。バレンズのクロスインダストリー・ビジネスユニット責任者Gili Friedman氏は、「このプラットフォームはA-PHYを採用しようとする企業にとって実用的で導入しやすいソリューションです」と述べ、業界全体の進化を期待しています。
A-PHY技術の革新と期待
D3 EmbeddedのCEO、Scott Reardon氏は、「A-PHYは業界のゲームチェンジャーになるテクノロジーです」と語り、過酷な環境でも信頼性を保ちながら、高速データ伝送と電磁両立性(EMC)を実現する重要性を強調しました。また、業界初の非シールド・ツイスト・ペア(UTP)ケーブルによるイノベーションが、持続可能なシステム設計を支えるとし、この技術を用いたプラットフォームがエンベデッド・ビジョンの革新を加速させる基盤となることを期待しています。
プロセッサやカメラの特徴
本プラットフォームは、NVIDIA® Jetson Orin™をプロセッサとして搭載し、8つのA-PHY入力ポートを持っています。また、産業用途向けにはファンレスの筐体オプションも整えており、各ポートは8Gbps(実効7.2Gbps)で運用可能です。加えて、Sony製のISX031センサを搭載した多様なA-PHY対応カメラが用意されており、必要に応じて防塵・防水性能に優れた堅牢な筐体も選択できます。
MIPI A-PHY規格の優位性
MIPI A-PHY規格は、産業現場での電気ノイズによる影響を受けにくい高い性能を誇ります。この新しいタイプのプラットフォームでは、コストや設計要件に応じて、シグナル品質を損なうことなく30メートル以上の通信においても高いパフォーマンスを提供します。さらに、UTPケーブルやマイクロ同軸ケーブルにより、マルチギガビット接続が可能になるため、設計者は柔軟な設計を行えます。加えて、高度な診断機能も搭載されており、システムの安定した運用が確保されています。
幅広いアプリケーションへの対応
このA-PHYベースのチップセットは、ロボティクス、産業車両、医療用画像プロセシングなど、長距離かつ高性能が求められる多くのアプリケーションに適しています。バレンズセミコンダクターとD3 Embeddedの提携により、新たなビジョン技術が現実のものとなる日が待たれています。
会社情報
バレンズセミコンダクターは、デジタル体験を変革するための高速コネクティビティ・ソリューションを提供しており、主要なメーカーの製品に搭載されています。一方、D3 Embeddedは、高度な認識機能を提供するエンドツーエンドのソリューションを開発している企業です。両社の提携が、エンベデッド・ビジョン分野に新たな地平を切り拓くことが期待されます。