大牟田市、水害時の情報発信を強化するDXソリューションを実証

大牟田市での防災DXソリューション実証実験

福岡県大牟田市において、TOPPANデジタル株式会社と沖電気工業株式会社が共同で、水害時の情報発信の迅速性を高めるための防災DXソリューションの実証実験を行いました。この実証は、2025年4月から8月末までの4ヶ月にわたり、大牟田市内の吉野と上内の2カ所で行われました。

背景

2020年7月、大牟田市は記録的な豪雨に見舞われ、2000棟を超える家屋が浸水するという甚大な被害を受けました。この経験から市は防災対策の強化に乗り出し、先進的な情報伝達システムの整備と市民への防災意識啓発に取り組んできました。気候変動により豪雨災害が増加する中、市は今後も引き続き防災体制の見直しや強化に努める姿勢を示しています。

実証実験の内容

今回の実証実験では、TOPPANデジタルが提供する情報集約サービス『PosRe®』と、OKIが提供する『危機管理型水位計』を統合した防災DXソリューションを構築しました。このシステムは、センサーによって検知された河川の水位情報をLTE通信を用いてリアルタイムで『PosRe®』に表示します。これにより、自治体内部での情報連携が促進され、管理が一元化されると共に、住民向けポータルサイトでの情報発信が実施されました。

成果と評価

実証の結果、住民へのスムーズな情報発信が実現し、評価に関するアンケート調査でも高い評価を得ました。特に、大牟田市の職員からは、情報の充実度や操作性に関して良好な評価を得ることができました。具体的には、情報充実度が3.3、操作性3.7、快適性3.6、設定充実度3.7といった結果が出ています。利用者からは直感的に操作できるユーザーインターフェースが評価され、情報の視認性や業務に応じたカスタマイズ性についても好意的な意見が多く寄せられました。

今後の展望

大牟田市は引き続き地域企業や関連機関と連携し、デジタル人材の育成やIT導入支援を進め、イノベーションの創出を目指す方針です。また、TOPPANデジタルとOKIも、それぞれの専門性を生かして地域の社会課題解決の取り組みを強化する予定です。実証で得られた知見を活用して、防災DXソリューションの実用化に向けた改善や検証を進め、早期の実用化を目指します。