米国ファイナンシャル・アドバイザー満足度調査の結果
J.D. パワーが発表した「2024年米国ファイナンシャル・アドバイザー満足度調査」によれば、全体の調査を通じてファイナンシャル・アドバイザーの約34%が近い将来、現在の職場から離れる可能性があると回答しています。特に、独立系アドバイザーの41%が転職を考えているとのことです。これは、アドバイザーの業界内でのキャリア移動の傾向を示唆しています。
調査の背景
この調査は米国の証券会社で働くファイナンシャル・アドバイザーの顧客満足度を評価する目的で年に一度行われています。調査対象は「従業員アドバイザー」と「独立系アドバイザー」の2つの部門に分かれていて、今年の調査では栄えある18回目を迎えました。
満足度の変動
従業員アドバイザーの満足度は大きく向上し、637ポイントを記録しました。これは、前年比で49ポイントの増加を示しています。一方、独立系アドバイザーの満足度は611ポイントと、前年から15ポイント減少しました。特に、従業員アドバイザーでのこの満足度の向上は報酬やサポートの質、テクノロジーへの意識が向上したことが大きな要因とされています。
転職理由と業界の課題
アドバイザーの定着が難しくなっている背景には、業界の高齢化や再編成、成長率の鈍化が挙げられます。リーダーシップや企業文化に対して不満を抱えているアドバイザーが多く、そのことが転職意欲の増加に結びついていると分析されています。
J.D. パワーのデータによると、2021年に「1〜2年後には同じ会社にいない」と答えたアドバイザーの半数以上が現在、在籍していないことが分かりました。一方、同じ調査で「間違いなく会社に残る」と答えたアドバイザーの9割が今もその会社に留まっています。これは企業文化やリーダーシップの信頼がアドバイザーの離職に大きく影響していることを示しています。
各社の顧客満足度ランキング
従業員アドバイザー部門
1.
Stifel(スタイフェル) ー 767ポイント
2.
Raymond James & Associates(レイモンド・ジェームズ・アンド・アソシエイツ) ー 750ポイント
3.
Edward Jones(エドワード・ジョーンズ) ー 740ポイント
注目すべきは、ウェルズ・ファーゴ・アドバイザーズが前年比156ポイント増の563ポイントと大幅に向上した点です。
独立系アドバイザー部門
1.
Commonwealth(コモンウェルス) ー 819ポイント
2.
Raymond James Financial Services(レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル・サービシズ) ー 694ポイント
3.
Cambridge(ケンブリッジ) ー 676ポイント
特にCommonwealthは11年連続で第1位を達成しました。
結論
顧客満足度やアドバイザーのロイヤルティがファイナンシャル・アドバイザーにとっての重要な課題であることは明らかです。業界リーダーたちは、アドバイザーの定着を図るため、企業文化やリーダーシップの改善に注力する必要があります。これにより、安定したサービスを顧客に提供できる体制が整うことでしょう。