オンラインツール活用で言語障害支援の新たな可能性を探る
2025年6月、山形県山形市で開催される第26回日本言語聴覚学会において、一般社団法人ことばサポートネットが小学校の言語障害通級指導教室(ことばの教室)におけるオンライン授業の実践報告を行います。これは、教員と言語聴覚士が連携し、ICT技術を用いて支援を行う新たな取り組みとして注目されています。
学会の概要
この度の学会では、「言語聴覚士には人と社会を変える力がある」とのテーマのもと、共生社会へ向けた具体的な取り組みを発表します。参加者には、多くの専門家や教育関係者が集まり、リアルタイムでの意見交換が期待されています。
開催日時:2025年6月27日(金)・28日(土)
場所:やまぎん県民ホール、山形テルサ
公式サイト:
学会詳細
ことばの教室の現状
言葉や聞き取りに課題を抱える子どもたちを対象にしたことばの教室は、年々そのニーズが高まっています。しかし、教員には高い技術力が求められ、多くの教員が不安を感じています。特に、新潟県の調査では、構音指導に関する知識や技術に不安を抱えている教員が半数を超えるという結果が明らかになりました。これは、相談先が少ないことや経験者が少ないためと考えられます。
オンライン授業の実践内容
そこで、教員の不安を軽減し、構音障害のある児童の支援を向上させることを目的として、ICT工具を活用した授業が行われました。
このプロジェクトでは、2024年5月から10ヶ月間にわたり、5名の教員が学校の端末を使用してオンラインで授業を実施しました。この授業では、事前の打ち合わせや授業後の振り返りを行い、経験豊富な言語聴覚士がサポートしました。
結果と効果
授業終了時に行った調査では、教員の多くが感じていた不安が軽減されたことが確認されました。具体的には、授業準備にかかる時間が短縮されたり、児童の改善速度が上がったというフィードバックもありました。しかし、カメラの設置や接続に煩わしさを感じた教員もいました。
まとめと今後の展望
ICTを活用した授業実践は、教員にとっての不安を軽減するとともに、児童にとっても有益であることが示されました。今後は、他地域の教員も交えた実践を行い、各地域のGIGAスクール環境やICTスキルに応じた取り組みを進めていく予定です。
さらに、言語聴覚士の専門性を活かした授業の在り方や、他地域での実施可能性についても検討していきます。
この新たな試みに、多くの関心が寄せられているのは間違いありません。今後も、コミュニケーションに課題を感じる子どもたちを支援するため、言語聴覚士と教員の協働を促進し、必要とされる支援を提供していきたいと考えています。