神戸モデルの認知症研究
2022-12-01 14:00:01

神戸モデルによる認知症リスク推定の新たなアプローチとは

認知症の急増と神戸モデルの重要性


世界的に見ても、認知症はその影響をじわじわと拡大させている疾患です。日本国内では、2012年には約460万人の認知症患者が報告されましたが、2025年には675万人、2040年には800万人以上に達すると予測されています。これを受けて、神戸大学とWHOの健康開発総合研究センターは、神戸市の協力のもと、認知症の早期発見と早期介入を目指す「神戸モデル」を開発しました。

この神戸モデルの一環として、「認知症の社会負担軽減に向けた神戸プロジェクト」が展開されています。特にこのプロジェクトでは、簡単な質問から認知機能に関連する数値データを集約し、要介護認定のリスクを推定するという画期的な方法が取り入れられています。

研究の内容と方法


研究では、2015年時点で要介護認定を受けていない70歳以上の高齢者7万7877人を対象に、日常生活の自立度に関する25項目の質問が郵送されました。この「基本チェックリスト」と、2015年から2019年にかけて収集された要介護認定データとの突合を行い、要介護認定の発生との関連性を調べました。

特に注目されたのは、物忘れや電話のかけ方、今日の日付を知らないといった認知機能に関する3つの質問です。これらの質問への回答によって、要介護認定のリスクを評価することが可能であることが示されました。

研究結果とその意味


調査の結果、要介護認定を受けた人の中で、基本チェックリストに未回答の人のリスクが高いことが分かりました。また、3つの認知機能に関連する質問に対する好ましくない回答が多いほど、要介護認定の発生率が増加することも明らかとなりました。具体的には、好ましくない回答の数が0から3に増えるにしたがって、要介護認定のリスクも増加していくことが観察されました。

これは、単にデータを集積するだけでなく、その結果をもとにした介入が重要であることを示唆しています。特に認知機能の低下が懸念される高齢者に対して、早期の対策を講じることで、認知症の進行を抑え、社会の負担を軽減できる可能性があります。

今後の展望


今後は、このような分析に基づいたアプローチが、神戸市のみならず、日本全体や、高齢化が進むアジア諸国においても実施されることが期待されます。特に、高コストな対策が難しい国々において、このようにシンプルかつ効果的な方法が支持されることで、認知症対策の新たな可能性が開かれることでしょう。

また、神戸市が実施したこの研究は、行政が保有するデータを用いて、地域の課題解決に結びつける好例でもあります。今後も引き続き、精度の高いデータを活用し、健康寿命の延伸を目指した活動が求められています。この神戸モデルの成功例は、他の地域における認知症対策の重要な指針となるでしょう。

会社情報

会社名
WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)
住所
兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-5-1 I.H.D. センタービル 9階
電話番号

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