富士通が目指す「ジョブ型人材マネジメント」とは
近年の企業環境は急速に変化しており、社会課題の解決や顧客ニーズへの迅速な対応が求められています。この変化に適応し、「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニー」というビジョンを掲げた富士通は、採用方針を大きく見直しました。新たに導入された「ジョブ型人材マネジメント」は、必要な職務に対して適材適所の人材を確保することを目的としています。
ジョブ型人材マネジメントの導入背景
富士通は2030年を目指した価値創造の一環として、事業ポートフォリオと連動した人材ポートフォリオの改革を進めています。この改革は、入社する社員がどのような役割を果たすのかを明確にし、それに基づいた採用と育成を行うものです。「ジョブ型人材マネジメント」の導入により、組織やポジションの見直しを図ることで、ますます流動的な人材を求めていきます。
フレキシブルな採用方針
富士通は新卒採用とキャリア採用の従来の枠を超え、必要に応じて職務を担う人材を計画数に縛られず、通年で採用します。この柔軟さは、変化の激しい環境における迅速な対応を可能とし、より多様なスキルセットをもつ人材の確保を目指します。たとえば、AIやコンピューティング技術を駆使する専門的な人材や、ビジネスアプリケーションに精通したコンサルタントなど、企業の成長に寄与する人材の獲得を強化しています。
報酬体系の革新
採用方針の変更に伴い、報酬体系も大きな見直しが行われました。2023年には全社員の年収を約7%から最大24%引き上げ、競争力のある報酬水準を実現しました。具体的には、事業部長クラスが約2,000万円から3,000万円、課長クラスが約1,200万円から1,300万円、リーダークラスが約1,000万円以上といった高水準になります。2024年から新卒入社者も「ジョブ型人材マネジメント」に基づき、学歴に縛られずジョブレベルに応じた報酬が約束されることが発表され、年収は550万円から700万円程度が見込まれています。
成長機会の提供
富士通は、単に報酬を支払うだけでなく、社員がチャレンジできる機会を提供することに重きを置いています。入社後早い段階から専門性の高い仕事に取り組むことで、成長を促し、社員の活性化を図ります。また、実践的な業務に挑戦できる有償インターンシップを積極的に増やすことで、学生にビジネスの現場を体験する機会を与えています。
おわりに
富士通は、従来の慣習を見直し、今後も「ジョブ型人材マネジメント」に基づいて、革新を追求し続けます。多様な人材にとって魅力的な企業を目指し、企業と社会の両方において持続可能な成長を実現させるための取り組みを行っていくとしています。今後も、富士通の人材戦略から目が離せません。