オンセミの新冷却パッケージ技術
半導体業界のリーディングカンパニーであるオンセミが、自動車および産業用アプリケーション向けに革新的な新冷却パッケージ技術を発表しました。この新技術は、業界標準であるT2PAKトップクールパッケージに基づくEliteSiC MOSFETを搭載しており、高効率を求める電力アプリケーションに特化しています。特に電気自動車、太陽光発電インフラ、エネルギー貯蔵システムなど、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
新技術の特徴
オンセミの650Vおよび950V EliteSiC MOSFETは、同社が誇る最先端のシリコンカーバイド技術と、革新的なT2PAKパッケージを融合させて開発されました。この技術によって、熱性能や信頼性が大幅に改善され、特に要求の厳しい高電圧アプリケーションにおいても、非常に効果的に対応できるようになっています。初期の生産品はすでに主要顧客への出荷が開始されており、今後は2025年第4四半期から他の製品も順次市場に投入される予定です。
効率的な熱管理
電力要件の高まりと共に、効果的な熱管理がパワーシステム設計者にとってますます重要な課題となっています。従来のパッケージでは、熱管理やスイッチング性能のいずれかを妥協せざるを得ませんでしたが、EliteSiC T2PAKソリューションでは、プリント基板上の熱をシステムの冷却インフラに効率的に伝達し、卓越した熱性能を実現します。これにより、以下のようなメリットが得られます。
- - 優れた熱効率と運転温度の低下
- - コンポーネントのストレスを軽減し、システムの寿命を延長
- - 高電力密度を維持し、コンパクトなシステム設計
- - システム設計を簡素化し、市場投入までの時間を短縮
オンセミの取り組み
オンセミでSiCディビジョンのバイスプレジデントを務めるオーギー・ジェキッチは、「熱管理は自動車および産業市場のパワーシステム設計者が直面する最も重要な課題の一つです」と述べています。また、「当社のEliteSiC技術と革新的なT2PAKパッケージによって、お客様は優れた熱性能と設計の柔軟性を享受し、競争の激しい市場で優位性を確保できるようになります」ともコメントしています。
技術的ハイライト
T2PAKのパッケージは、MOSFETとアプリケーションのヒートシンクとの間で直接熱を結合することを可能にし、放熱とスイッチング性能の最適なバランスを実現します。この設計は接合部からヒートシンク間の熱抵抗を最小化し、12mΩから60mΩの広範なRds(on)オプションをサポートします。これによりデザイナーは柔軟な設計が可能になります。具体的には以下のような技術的ハイライトがあります。
- - PCBの熱的な制約の回避により、システムのヒートシンクに熱を集中させて優れた熱性能を実現
- - 低浮遊インダクタンスの維持によって、高速なスイッチング速度とエネルギー損失の低減を可能に
- - TO-247とD2PAKの特長を損なうことなく統合
これらの技術的特性により、デザイナーはよりコンパクトで冷却能力が高く、高効率なシステムを設計できるようになります。
まとめ
今後、オンセミの新しい冷却パッケージ技術は、多様な高電力アプリケーションにおける効率と信頼性を向上させることで、産業界全体に大きな影響を与えることが期待されています。オンセミが推進するこの技術は、電気自動車や再生可能エネルギーなどの次世代市場での競争力を一層強化するための重要な一歩となるでしょう。