佐原ひかりの新たな挑戦『リデルハウスの子どもたち』
注目の作家、佐原ひかりが新作長編小説『リデルハウスの子どもたち』を発表しました。東京創元社から2023年11月20日にリリースされるこの作品は、彼女のこれまでの作品からも感じられる独自の視点と新しい発想で描かれています。これまで『ブラザーズ・ブラジャー』や『人間みたいに生きている』などを手がけ、多くの読者の支持を得てきた佐原ひかり。彼女のスタイルは常に新しさと深さを両立させており、この新作にもそれが色濃く表れています。
物語の舞台「リデルハウス」
『リデルハウスの子どもたち』は、全寮制の名門学園「リデルハウス」を舞台にしています。この学園には「ラヴ」と呼ばれる特別な才能を持つ生徒たちが存在します。彼らは普通の生徒とは異なる、特別なアプローチで学び、その代償に学園との契約を交わします。この設定は、学園ものの物語ではあるものの、単なる青春ストーリーに留まらず、深いテーマ性を持つ作品となっています。
特別な才能「ラヴ」と「ギフト」
特に注目すべきは、ラヴたちが選ばれた理由とその特権です。彼らは在学中に一度だけ、「ギフト」と呼ばれる力を使って、自身の望みを叶えることが可能です。この設定には、どこか現実から逸脱したファンタジーの要素が含まれており、それによって物語に一層の深みが加わります。主人公アモニカは、フライデーという謎めいた人物に導かれてリデルハウスに編入し、彼女の成長と発見が描かれています。
謎の援助者フライデーと冒険の始まり
アモニカが編入する際、フライデーが条件として「週に一回手紙を書くこと」を求めます。この要求はただの文通にとどまらず、ラヴたちの秘密を解き明かすための探求が始まるきっかけとなるのです。フライデーの真意や、アモニカが直面するさまざまな試練は、物語をより緊張感のあるものにしています。
魅力的なキャラクターたちと成長の物語
リデルハウスには、アモニカをはじめとする個性的なキャラクターたちが集い、友情や陰謀、成長が交錯します。彼らの関わり合いが物語にさらなる色合いを加え、この学園での経験が彼らをどう変えていくのか、読者は目を離せません。
絶妙なデザインと作り込まれた世界観
装画はまめふく、装幀はアルビレオによるもので、作品の雰囲気を引き立てる美しいデザインが特徴です。優雅でありながらも不思議な感覚を与える表紙は、手に取る者に興味をかき立てずにはいられません。
まとめ
『リデルハウスの子どもたち』は、佐原ひかりの独創的な世界観が詰まった作品であり、少年少女たちが直面する試練と冒険を描いてます。懐かしさや親しみやすさを感じつつも、新しい感覚が楽しめるこの物語をぜひ手にとって読んでみてください。心躍る秘密めいた冒険が待っています。
著者プロフィール:佐原ひかり(さはら・ひかり)は1992年に兵庫県で生まれ、2017年にデビュー。特に青春文学において確固たる地位を築いており、これまでに数多くの作品を発表しています。