NECと東北大学病院がNTCIR-18の医療AIコンペで成功
最近、NEC(日本電気株式会社)と東北大学病院の共同で開発したAIエージェントが、国立情報学研究所による医療分野の言語処理競技「NTCIR-18」で第1位を達成しました。この競技は医療現場における自然言語処理の技術を評価するもので、特に肺がんの診断レポートから進行度を判定することが目的です。
診断レポートの課題とAIの役割
電子カルテの普及により、医療の質と効率は向上していますが、医療用語の多様性や曖昧さから、診断レポートを自動的に解析することは困難でした。NECは東北大学病院のアカデミック・サイエンス・ユニットの支援を受け、医療知識をもとにAIエージェントを開発しました。このエージェントは自律的にタスクを分解し、高い精度で出力を生成することで、医師が記載した内容の理解を深めています。
競技結果とその意義
NTCIR-18でのテストでは、AIが肺がんの進行度を評価する精度が81.48%という結果を達成し、他機関を大きく上回りました。これは、誤字脱字や略語、医師間の表記のばらつきにもしっかり対応できるという強みを示しています。このように、AIを利用することで日々の診療で蓄積される医療情報を効率的に活用する道が開かれました。
今後の展望
NECはこの技術をもとにして、生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」や、医療文書を作成支援する「MegaOak AIメディカルアシスト」の展開を進めています。こうした取り組みにより、医療業務のデジタル化を促進し、より高い質の医療を実現することを目指しています。
また、今後は創薬の効率化を図り、新たな治療法の開発にも寄与することが期待されています。近年求められる医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて、NECはさらなる革新を追求します。
このように、NECと東北大学病院の取り組みにより、医療分野におけるAI技術の利用が一層進展し、患者にとってより良い医療サービスが提供される未来が期待されます。
まとめ
医療業界におけるAIの可能性は広がり続けています。今回の成果は、診断精度の向上だけでなく、医療の質の向上にもつながる重要な一歩です。NECと東北大学病院が共同で進める医療AIの研究開発に、ますますの注目が集まっています。