大同メタル工業、洋上風力発電の未来を切り開く!
先日、大同メタル工業株式会社が画期的な技術の運用を開始しました。
世界初の風車向けすべり軸受用ベンチ試験機が、同社の連結子会社である大同メタル佐賀株式会社に新設された「風車技術研究所実験棟」に設置されたのです。この取り組みは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援する「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトの一環として行われています。そして、この試験機は、洋上風力発電機の主軸用すべり軸受と同じ条件を再現できるため、風車メーカーに新技術の提案を行える貴重なツールとなります。
背景
2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの導入が急務とされています。その中でも洋上風力発電は、大規模な導入とコストの削減が期待できる重要な選択肢です。経済波及効果も見込まれ、再生可能エネルギーの主力電源化に向けての進展が期待されています。しかし、近年は資材の高騰が影響し、発電コストの引き下げが課題となっています。
国内には風車製造の拠点が不足しており、技術力を持つ国内部品メーカーの潜在能力が十分に活かされていないのが現状です。そのため、しっかりとした国内サプライチェーンを構築し、次世代技術開発と国際連携に取り組むことが急務とされています。このような背景のもと、NEDOは「洋上風力発電の低コスト化」に向けたプロジェクトを推進しています。
風車向けすべり軸受の開発
大同メタル工業は、すべり軸受を導入することで、風車のメンテナンスや交換が容易になる技術を開発しています。従来の転がり軸受の代わりに、分割可能なパッドタイプのすべり軸受を採用することで、メンテナンス費用の削減を目指しています。特に洋上風力発電では、定期的なメンテナンスに船が必要なため、その効率化が不可欠となります。これにより、発電コストの低減が期待されているのです。
すべり軸受用ベンチ試験機の意義
新たに設置したベンチ試験機は、軸径が1000mmという特長を持ち、洋上風力発電機主軸に求められる高い環境条件を再現できます。この技術により、風車メーカーはすべり軸受導入の際の評価実験が容易になり、評価工数やコストを削減できます。これが実現することで、風車メーカーにとっても大きなメリットが生まれ、導入プロセスの簡素化にも寄与するでしょう。
今後の展望
大同メタル工業は、この技術の運用から得られるデータを活用し、洋上風力発電におけるすべり軸受の社会実装を促進します。これにより、発電コストが引き下げられることが期待され、持続可能性に向けた再生可能エネルギーの導入が進むでしょう。また、NEDOは引き続き、国内メーカーの技術力を高め、国際的なサプライチェーンの構築を支援していくことを目指しています。再生可能エネルギーの未来に向けて、新しい技術がどのように活用されていくのか、注目が高まります。
この革新は、洋上風力発電の信頼性を向上させ、持続可能な社会の実現に寄与する大きな一歩となるでしょう。