天龍コンポジットがFRPの循環利用を実現
岐阜県加茂郡にある天龍コンポジット株式会社が、新たな再資源化技術「電炉CCS法」を導入し、従来リサイクルが困難とされていたFRP(繊維強化プラスチック)の端材を再資源化することに成功しました。
この取り組みは2025年2月に始まり、わずか4ヶ月で合計1トンを超えるFRP端材の処理実績を上げています。これにより、廃棄物処理の新しい可能性を視野に入れた「持続可能な社会」への貢献が期待されています。
FRPとその課題
FRPはその軽量で高強度な特性から、多岐にわたって利用されていますが、製造過程で出る端材は再利用が難しく、最終的には埋立処分されるケースがほとんどでした。特に、熱硬化性樹脂が使用されているため、再加熱による溶解が簡単ではないという側面があります。埋立処分を続けることは、環境面でも大きな課題を生んでおり、廃棄物の増加や処分コストの上昇などが懸念されています。
新たな再資源化の流れ
天龍コンポジットが採用した「電炉CCS法」は、廃棄FRPを炭素固定素材として活用し、新たな製鋼工程に再利用する技術です。この方法では、具体的に以下のような流れを経て再資源化が行われます。
1. 廃棄FRPを鉄粉と共に破砕・圧縮成型する
2. 製鉄工程で使用される加炭材に再資源化
3. 電炉メーカーへ供給
4. 鉄スクラップと混ぜて電炉内で溶融・製鉄
このプロセスにより、廃棄物の排出抑制にとどまらず、コスト面でも材料供給の新たな選択肢を提供しています。加炭材としての再利用は、従来の石油由来コークスに代わる持続可能な解決策となることが期待されています。
実績と担当者の声
プロジェクトの立ち上げから4ヶ月で、1トンを超えるFRPの端材を資源として回収し、埋立処分からの脱却が具現化しました。担当者は、「これまでリサイクルの選択肢がなかった状況から、この手法を通じて新しい道を切り開けたことに感謝しています。将来的には、さらにサステナブルな社会の実現を目指して邁進していきます。」と語っています。
展望と今後の取り組み
今後も天龍コンポジットは、再資源化技術の導入を進めつつ、FRP業界全体の循環型社会への転換を促進する活動を展開していくとも言われています。具体的には2025年10月に開催される「70th FRP CON-EX2025」に出展し、今回の成功を広く伝えていく計画です。協力企業のサティスファクトリーとの共同展示で、他の企業への波及効果も期待されています。
これからも天龍コンポジットは、循環型社会の実現に向けての一歩を踏み出し、FRP業界の環境問題を解決するために努力を続けていくことでしょう。
企業情報
所在地:岐阜県加茂郡川辺町中川辺1430番地1
所在地:東京都中央区八丁堀3-12-8 HF八丁堀ビルディング6F