木造建築のデジタル化の進展
大和ハウス工業株式会社(大阪市、社長:大友浩嗣)は、2025年6月2日から木造の商業施設や事業施設の設計にBIM(Building Information Modeling)対応を本格的に開始することを発表しました。これは、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けた取り組みの一環でもあり、木材利用を促進することで脱炭素社会の実現を目指します。
BIMの導入とその意義
BIMとは、建物のライフサイクル全体を通じて情報管理を行う仕組みです。デジタルモデリングにより、初期設計から建設、保守、さらには廃棄までの情報を統合的に管理できます。2021年には都市の木造化推進法が施行され、非住宅分野においても木材が利用されるようになりました。その背景には、脱炭素社会を実現するための政府の強力な指導があるのです。
BIMツールの連携
大和ハウス工業が開発したBIMの設計支援ツール「D-Rex」は、応用技術株式会社のBIMソフトウェア「Autodesk® Revit®」の拡張ツール「BooT.one®」と連携することで、木造建築の設計環境を構築します。これにより、従来の鉄骨造や鉄筋コンクリート造のBIMデータをもとに、木造建築物の詳細設計も迅速かつ高精度なものとなります。
木造建築の新しい設計プロセス
新たに構築される設計環境では、木造建築に特化した資材の積算や施工シミュレーションに対応します。具体的には、柱や梁の構造を自動生成し、設計者は短時間で高精度な建物を設計できるようになります。また、省エネルギーや環境配慮を盛り込んだ建物設計が可能になり、今後サステナブルな建設を実現する礎となるでしょう。
DX化の進展と今後の展望
建設業界では、働き方改革や技術継承のためにデジタル技術の導入が進んでいます。特にBIMは、設計業務の効率化や生産性向上に寄与する重要な要素です。2026年春には、国土交通省が推進するBIM図面審査制度が導入される予定で、これにより業界全体のデジタル化が進むでしょう。
大和ハウス工業は、木造建築におけるBIM対応を行うことで、持続可能な建物の設計・施工を進めていきます。さらに、「Future with Wood」というプロジェクトを通じて、非住宅の木造化を推進する取り組みを強化し、環境に配慮した建築物の設計に努めます。これからの建設業界の変革に期待が寄せられています。
まとめ
大和ハウス工業の新しい取り組みは、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。木造建築のBIM対応により、施工の効率化や環境への配慮が進む中、小さな努力が大きな変化をもたらすことが期待されます。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、今後の動きに注目です。