自動運転レベル4の課題
2024-06-27 16:42:52

自動運転レベル4の実用化に向けた法的・実務的論点:損害保険協会が報告書を発表

自動運転レベル4の実用化に向けた課題:損害保険協会が報告書を発表



一般社団法人日本損害保険協会は、自動運転レベル4の実用化に向けた法的・実務的な課題をまとめた報告書「自動運転(レベル4)に対する法的・実務的論点」を発表しました。

自動運転技術は日々進化しており、ユーザーの利便性向上や交通事故の削減、環境負荷の軽減などに期待されています。しかし、レベル4の自動運転車が市場に本格的に登場する段階では、新たな法的・実務的な課題も浮上しています。

本報告書では、自動運転レベル4の実用化に伴い発生する可能性のある問題点として、以下の4つの課題が挙げられています。

1. 運行供用者の明確化

従来の自賠法では、運行供用者責任が明確でしたが、自動運転レベル4では、責任主体として「特定自動運行実施者」などが新たに想定されます。これらの主体が自賠法上の運行供用者に該当するかどうかは、明確ではありません。

2. 不法行為責任の責任主体

人身事故では、運行供用者責任が維持されるため、従来通りの被害者救済が期待できます。しかし、物損事故では、運転者がいないため、誰が責任を負うのかが不明確です。被害者側が不法行為責任や製造物責任を立証する必要があり、責任追及が困難になる可能性があります。

3. 製造物責任と安全技術ガイドラインの具体化

製造物責任では、製品の欠陥が原因で事故が発生した場合、製造者に責任が問われます。自動運転車の安全性を担保するためには、最低限の基準として、安全技術ガイドラインの精緻化が求められます。

4. 事故状況調査と原因究明

保険金支払いには、事故状況調査と原因究明が不可欠です。レベル3までの自動運転車では、自動車メーカーとの協力体制が構築されていますが、レベル4では、情報提供の範囲を拡大する必要があります。

損害保険協会は、これらの課題を解決することで、安心・安全な自動運転社会の実現に貢献していくとしています。今後、政府の検討や海外の動向を注視しながら、必要に応じて意見を発信していく方針です。

本報告書は、自動運転社会の実現に向けて、様々な関係者が共通認識を持つための重要な指針となることが期待されています。

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