漁業の革新をもたらす次世代システム、スマートブリッジ
近年、漁業の現場における技術革新が進んでいます。その中でも特に注目を集めているのが、古野電気株式会社が開発した次世代統合漁労システム『スマートブリッジ』です。2023年10月、茨城県の石田丸漁業株式会社の船舶にこのシステムが日本初搭載されました。これにより、漁業の運営が一段と効率的に、また安全に行えるようになります。
スマートブリッジの特徴
『スマートブリッジ』は、漁船の操業時に使用する様々な情報を一つの画面で確認できる革新的なシステムです。従来の漁船は、魚群探知機や潮流計、航海用レーダーなど、数十台の電子機器が存在し、それぞれ独立して表示されていました。しかし、スマートブリッジでは、これらの情報をネットワークでつなぎ、必要な情報を最適なタイミングで一番見やすい形で提供してくれます。
例えば、漁獲中に魚群の動向を確認する際、必要な情報を短時間で切り替えながら確認でき、効率的な漁業が行えるようになります。また、カスタマイズ可能なモニター画面によって、現場の状況に応じた表示が可能です。このシステムにより、現場の漁労長や航海士は、数多くの機器を個別に操作する労力を大幅に削減できます。
未来の漁業を見据えたシステム
古野電気の常務執行役員である矮松一磨は、スマートブリッジが「スマート漁業を実現するためのITソリューション」であると語ります。安全で効率的な操業だけでなく、漁業資源管理という重要な観点も念頭に置かれています。具体的には、漁場の状況や魚群の特性を分析し、適切な漁獲の意思決定をサポートする仕組みを目指しています。
今後の発展として、魚群の種類や大きさを判定し、漁獲時期や制限と照らし合わせて適切な漁獲対応が可能になるシステムの実現が期待されています。これにより、漁業の持続可能性も大きく向上することでしょう。
漁業のサステナビリティに向けて
このスマートブリッジは、国内だけでなく、スウェーデンやノルウェー、デンマークといった漁業大国でも導入が進められてきた実績があります。今後も古野電気は、システムの改良と搭載船舶の拡充を進め、漁業界の人材不足や水産資源の確保など、複数の課題にチャレンジし、サステナブルな漁業の実現に寄与することを宣言しています。
日本においても、スマートブリッジの技術が本格的に浸透することで、漁業の未来がどう変わっていくのか、目が離せません。この新しいシステムによって、より持続可能な漁業が育まれ、未来の漁業を担う人々にとって、より良い環境が整っていくことを期待したいです。